ブレッドボードラジオ真空管・低電圧動作

スペースチャージグリッド管 12K5

 スペースチャージグリッド管(空間電荷格子管)の12K5を入手したので、直流での特性を測定してみました。

写真1

第1図

 入手したのはRCAブランドのものです。私がふだんラジオの実験に使用しているのは、どれも500〜800円程度で買える安い真空管ばかりですが、今回の12K5はちょっと高くて1500円でした。でも、スペースチャージグリッド管というものを一度使ってみたかったので、あえて購入しました。
 外観は7ピンのmT管で、全長は6AQ5や6AR5などの出力管と同じです。

RCAGESYLVANIA
Ep V12.612.612.612.6
Eg1 V12.612.612.612.6
Eg2 V-0.5-2.0-2.0
Rg2 Ω2.2M
Ip mA408408
Ig1 mA75757585
Rp Ω480800480800
Gm μmho1500015000
μ7.2
Po W0.040.035

 第1図がスペースチャージグリッド管の基本的な使用法です。スペースチャージグリッド管には、カソード、プレートのほかに2つのグリッドがあります。回路図に書くと4極管と区別がつきませんが、カソードに近いほうのグリッド(G1)がスペースチャージグリッドで、プレートと同じプラスの電圧をかけて使います。プレートに近いほうのグリッド(G2)が信号を入力するコントロールグリッドです。
 スペースチャージグリッドにプラスの電圧を掛けることでカソードから出た電子が通りやすくなって、低いB電圧でもプレート電流をたくさん流すことができるとのことです。

 左の表は各社の真空管規格表に載っている12K5の動作例です。ただし、RCAの規格表には「12K5の特性は12DL8の4極管部と同じ」とあったので、12DL8のデータを載せました。
 なお、ヒーターの定格は12.6V、0.4Aです。

第2図

Rg1IpIg1Eg1
なし34mA70mA12.6V
100Ω22mA42mA10.4V
220Ω16mA28mA9.1V
470Ω10mA18mA7.9V
1kΩ6.1mA10mA6.5V

 はじめに上の第2図の回路でゼロバイアスでの特性を調べました。プレートとスペースチャージグリッド(G1)に12.6Vを加え、どれくらい電流が流れるか測定しました。また、G1に直列に抵抗を入れると電流がどう変化するか調べました。
 測定結果は上右の表の通りです。直列抵抗がないときの電流は規格表に載っている値より若干少なくなりました。G1に直列に抵抗を入れると、Ip, Ig1ともに減少します。
 なお、コントロールグリッド(G2)には0.3V前後のマイナス電圧が発生するようですが、テスタでは正確な値が把握できません。

第3図

RkEkIpIg1
4.7Ω0.47V29mA67mA
10Ω0.90V23mA66mA
15Ω1.25V18mA65mA
22Ω1.67V12mA63mA
33Ω2.21V6.2mA61mA

 第3図はカソードに抵抗を入れてバイアスをかける実験です。普通の3極管と同じく、カソード抵抗を大きくするほどバイアスが深くなってプレート電流が減少します。バイアス電圧の分だけG1にかかる電圧が低くなるので、Ig1も少し減ります。

 12K5は、普通の真空管を12Vで動作させたときと比べるとはるかに大きなプレート電流を流せるので、12V電源でもある程度大きな出力が期待できそうです。また、出力トランスにはトランジスタ用のものが使えるかもしれません。
 その反面、スペースチャージグリッドにプレート電流の数倍の電流を流す必要があり、その上ヒーター電流も0.4Aと大きいので、ちょっと不経済な気もします。

 最後に、諸先輩方のウェブサイトから、スペースチャージグリッド管を使用した製作例を挙げておきます。

ポータブル・ラジオのページ
12AD6-12EZ6-12AE6-12K5という構成の4球スーパーの製作記事があります。12K5のバイアスは、検波段で生じるAVC電圧を利用しています。
Dad's Projects
双3極管の5963を1本、12K5を2本使った3球ステレオアンプが出ています。とても美しい作品です。12K5はカソードバイアスです。
のらねこ商会
スペースチャージグリッド管の元祖、UX111Bを使った再生検波単球ラジオがあります。真空管以外の部品も当時のものが使われています。
真空管と共に
B級出力管の49をスペースチャージグリッド管として使用した製作例が紹介されています。6VのB電圧で動作する再生検波単球ラジオです。

 (2005年10月24日)

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