ブレッドボードラジオLM 3909

LM3909を使ったLED点滅回路

 (2005年5月29日)

 古いラジオ雑誌を見ると、LM3909というICを使ったLED点滅回路がときどき出てきます。1.5Vの乾電池1個でLEDを点滅することができるということで興味がわきますが、このICはとうに生産中止になっていて手に入らないので、実験はあきらめていました。
 ところが、幸運にも先頃「エレ工房さくらい」さんのご厚意で1個譲っていただくことができました。さくらいさんにはICといっしょにメーカー発表の資料も送っていただき、たいへん感謝しています。
 というわけで、さっそくこのICを使った回路をいろいろ実験してみましたので報告します。

第1図

 第1図が、ラジオ雑誌の製作記事によく登場するLED点滅回路です。ICとLED、それにコンデンサが1個と乾電池だけという非常に簡単な回路です。LEDはTLR124という直径3mmの赤色のものを用いました。これでLEDが約1秒に1回、ピカッと光ります。それほど明るくはありませんが、暗いところで何かの目印にするには十分です。
 下に、ブレッドボード上の配線図と写真を示します。

実体配線図1 写真1

 第1図の回路についてもう少し詳しく調べてみました。
 まず、コンデンサの容量を変えてみたところ、容量が大きいほど点滅周期が長くなりました。点滅周期は220μFのとき2.2秒、100μFのとき1秒、47μFのとき0.5秒と、容量にきちんと比例していてとてもわかりやすいです。コンデンサを1μFにすると点滅がうんと早くなり、肉眼では連続して点灯しているように見えます。このとき、ICの8番ピンと4番ピンの間、あるいは2番ピンと4番ピンの間に周波数カウンタを入れると、ちょうど100Hzを示しました。
 また、容量が大きいほど明るく光るように見えます。1μFにしたときは、昼間の光の下では光っているのかどうかよくわからないくらいの明るさしかありません。

 次に、ICの消費電流を測定してみました。最初、第1図の電源スイッチのところにデジタルテスタを入れてみたのですが、数字がせわしなく変化してよくわかりません。そこでアナログテスタに換えてみると、0.2mAと0.45mAの間を行ったり来たりしていました。LEDが発光した直後にぴょんと上がってその後ゆっくり下がり、0.2mAまでくるとまたぴょんと上がるという動き方です。コンデンサを220μFにすると、テスタの針は0.15mAと0.65mAの間を往復しました。ただ、アナログテスタの電流計を入れるとLEDがほとんど光らなくなってしまうので、これらの測定値は正確ではないかもしれません。
 コンデンサを1μFにしてデジタルテスタの電流計をあてると、電流値は0.27mAで静止しました。

 上の実験では赤色LEDを使用しましたが、他の色も試してみたところ、緑や黄色のLEDでも赤と同じように点滅することがわかりました。白色LEDもかろうじて光りますが、周囲が真っ暗でないと光っているのがわかりません。
 電源電圧を3Vに上げる実験もしてみました。点滅周期が半分(100μFで約0.5秒)になります。電源電圧が1.5Vでコンデンサが47μFでも点滅周期は0.5秒になりますが、これと比べるとやや明るく光るように見えます。消費電流は、コンデンサが1μFのとき0.68mAでした。
 電源電圧を3Vにすると白色LEDを十分な明るさで点滅させることができます。周期はなぜか赤より少し遅くて、100μFのとき約0.6秒でした。1μFのコンデンサで連続点灯させたときの消費電流は1.0mA、周波数は180Hzでした。

第2図

 第2図の回路はICの1番ピンと8番ピンがショートされています。ラジオ雑誌には第1図と第2図の両方が登場しますが、今回、メーカーの資料を見て、1番ピンは点滅周期を調節するための端子だということを知りました。第2図の回路のほうが点滅が早くなります。
 第2図の回路(コンデンサの容量が100μF)で、LEDは約0.4秒周期で点滅します。点滅周期を同じにして比べると、第1図の回路より第2図の回路のほうが少し明るく光ります。コンデンサの容量を1μFにして連続点灯させたときの消費電流は0.63mA、周波数は270Hzでした。
 これらの特徴は、第1図の回路で電源電圧を3Vにしたときと似ていますが、第2図の回路では白色LEDを明るく光らせることはできません。

第3図

 第3図の左側の回路はメーカーの資料に載っていたものです。このように8番ピンと4番ピンの間に1kΩの抵抗をつなぐと、点滅周期はさらに早くなります。第3図では470μFのコンデンサを使用していますが、それでも点滅周期は0.6秒になりました。コンデンサの容量を1μFにしたときの消費電流は1.3mA、周波数は760Hzでした。
 この回路ではRの抵抗値を大きくすると点滅がゆっくりに、小さくすると点滅が早くなります。そこでRをボリュームに換えて、つまみを回すことで点滅スピードを変えられるようにしたのが右側の回路です。100kΩのボリュームを回すと、LEDの点滅は約1秒に1回(1.1Hz)から連続点灯(40Hz)まで変化します。
 第3図右側の回路のボード配線と写真を下に示します。

実体配線図3 写真3