ブレッドボードラジオLM555

LM555・LED点滅回路の実験

 (2007年3月10日)

 タイマーIC・LM555で周波数の低い発振回路を組んでLEDを点滅させる実験をしました。この回路も記事によって言い方がいろいろです。いわく、無安定マルチバイブレータ、非安定マルチバイブレータ、自走 (フリーラン) マルチバイブレータ、アステーブルモードなどなど。たまに「不安定マルチバイブレータ」って書いてあるのを見かけますが、これはネタでしょうか。

第1図

 第1図がLM555を使ったLED点滅回路です。この回路ではC1が充電と放電を繰り返し、それに伴ってICの6番ピンの電圧が電源電圧の1⁄3と2⁄3の間で上下します。6番ピンとGND間にデジタル電圧計を入れると、LEDの点滅に合わせて端子電圧が2Vと4Vの間を上下するのが確認できます。
 C1への充電時には3番ピン(出力)がHになり、LEDが点灯します。C1が放電する期間には3番ピン(出力)がLになり、LEDが消灯します。点灯時間と消灯時間はそれぞれ図中に示した式で計算できます。第1図の定数では点灯時間が1.4秒、消灯時間が0.7秒で、点滅周期は2.1秒となります。実測でもだいたいこれくらいでした。
 点灯時間と消灯時間が違うのは、C1の充電経路と放電経路が違うためです。充電は電源プラスからR1、R2を通って行なわれますが、放電はC1からR2だけを通ってICの7番ピンからなされます。それゆえ、R1とR2が等しい場合は点灯時間が消灯時間の2倍になります。点滅周期に対する点灯時間の割合をデューティー比と言いますが、この場合のデューティー比は2⁄3、つまり67%です。
 第1図の回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。

実体図1 写真1

第2図

 第2図はR1およびR2の値を変えてみる実験です。左はR1=10kΩ、R2=1MΩにしました。これでデューティー比はほぼ50%になります。LEDは0.7秒点灯、0.7秒消灯します。点滅周期は1.4秒です。
 右は逆にR1=1MΩ、R2=10kΩにしたもので、この場合デューティー比はほぼ100%になります。LEDは0.7秒に1回、一瞬暗くなりますが、ちょっとチラつく程度で、ほとんど点きっぱなしのような感じです。
 この回路ではデューティー比を50%以下にすることはできません。つまり点灯時間を消灯時間より短くすることはできません。また、タイマー回路と同じく、R1やR2を極端に小さくするのはICによくないとのことです。

第3図

 第3図はボリュームでデューティー比を可変にした回路です。スライダーをR1側へやるとほぼ50%、R2側へやるとほぼ100%になります。デューティー比が小さいほど点滅周期は長くなります。

第4図

 第4図はデューティー比が50%、つまり点灯時間と消灯時間が同じになる回路です。第4図左の回路で、C1の充電時は電源プラス→R1→D→C1という経路で電流が流れ、放電時はC1→R2→ICの7番ピンという経路で電流が流れます。点灯時間は0.7×R1×C1、消灯時間は0.7×R2×C1ですので、R1とR2を同じ値にすれば点灯時間と消灯時間が同じになります。
 ・・・というのが本の説明なのですが、実測してみると点灯時間が消灯時間より10%ほど長くなりました。R1とR2を入れ替えても同じなので抵抗器の誤差のせいではないと思います。充電回路にだけダイオードが入っているのが原因かと思い、図右の回路を試してみましたが、やはり点灯時間のほうが10%ほど長くなりました。また、右の回路は左の回路より点滅周期(点灯時間と消灯時間の合計)が若干短くなります。

第5図

 第5図はデューティー比を0〜100%まで可変できる回路です。ボリュームのスライダーをR1側へやるとデューティー比が小さくなり(点灯時間の短い点滅)、R2側へやるとデューティー比が大きくなります(点灯時間の長い点滅)。点滅周期はデューティー比と無関係かと思ったのですが、実際にやってみると、ボリュームのスライダーが中点にあるとき最も点滅周期が長く、両端へ行くと10%程度短くなりました。
 この回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。

実体図5 写真5

第6図

 第6図左は3番端子を使ってC1の充放電をさせる回路です。資料にはデューティー比50%(点灯時間=消灯時間=R1×C1)と書いてありましたが、私の実験では図の定数で点灯時間が1.6秒、消灯時間が0.7秒になりました。つまり第1図の回路と同じような感じです。何か間違えているのでしょうか。
 右は点滅周期を可変する回路です。ボリュームの抵抗値が小さいほど点滅が早くなります。デューティー比は変化しません。