ブレッドボードラジオ発振回路の実験

水晶発振器を使ったAMトランスミッタ

 (2006年3月6日)

 前項で動作テストした水晶発振器を使って簡単なAMトランスミッタを作ってみました。水晶発振器の電源ラインに低周波トランスを入れて変調をかけます。

1. 中波放送を音源にする

第1図

 上の第1図がAMトランスミッタの回路図(送受信システムの構成図)です。トランスミッタ自体は水晶発振器にトランスを接続しただけの超簡単なものです。水晶発振器は3端子のDOC-49S3を用いました。周波数は1.308MHzです。トランスはサンスイのトランジスタ用出力トランスST-32(1.2kΩ:8Ω)を使いました。ラジオA,Bはともに市販の中波ラジオです。電源器の都合で電源電圧は4.5Vにしました。

 ラジオAはローカル放送に合わせ、イヤホン出力を低周波音源としてトランスの8Ω側に入力します。ラジオBは送信波を受信するためのもので、水晶発振器の周波数に合わせます。つまり中波放送を中波帯で再送信するわけですが、ラジオBのダイヤルをちょっと回して元の放送と聞き比べると、送信波の質の良し悪しがすぐわかって好都合です。なるべく大きな音で、しかも歪みなく聞こえるように、ラジオAのボリュームを調節します。

 結果はなかなか良好でした。放送波と比べると少し音量が小さく、また高音域が落ちているように感じますが、十分実用になりそうです。当然ながら、送信周波数はまったく変動しません。高調波がたくさん出ているので、短波ラジオやFMラジオで探っていくと1.308MHz毎に同じ放送が聞こえてきます。意外だったのは、FMラジオでもちゃんと音声が復調できたことでした。AMラジオで聞いたときに比べると音が小さいのですが、音質的には問題ありませんでした。
 他の周波数の発振器でも同じように動作しました。ただ、ものによっては深い変調がかからない(受信音が小さい)ものもありました。なお、アンテナは長さ10cmのスズめっき線をブレッドボード上に立てました。これで、半径1mくらいの範囲で良好に受信できます。

 下の写真は実験の様子です。ラジオはA,BともにパナソニックのRF-U150(AM-FMアナログラジオ)です。

写真1

2. オルゴールICを音源にする

第2図

 第2図はラジオ音声の代わりにオルゴールICの音を電波に乗せて飛ばすものです。トランスはST-73A(1kΩ:1kΩ)を使いました。ST-32でも動作するのですが、少し音が小さくなるのと、オルゴールICの消費電流が増えるのが気になるのでST-73Aにしました。なお、ラジオのイヤホン出力をつなぐときは、ST-32でもST-73AでもOKです。音量の違いは音源のラジオのボリュームを調節することでカバーできます。
 オルゴールICは定格電圧が1.5〜3Vなので、LEDを用いて電圧を下げました。結果は、オルゴールICの音を直接スピーカーで聞いたときとほとんど変わりなく受信することができました。

 第2図の回路のブレッドボード上の配線と試作写真を下に掲げます。

実体図2 写真2

3. 低周波発振回路を音源にする

第3図

 第3図はブロッキング発振回路を組んで「ピー」という音を電波に乗せるものです。変調付きテストオシレータのごく簡単なものと言えます。発振周波数は約650Hzでした。受信機のスピーカーに耳を近づけると、「ピー」音に混じって、わずかに「キャー」とか「シャー」といったきたない音が聞こえます。ブロッキング発振回路の音がもともとそうなのか、水晶発振器と組み合わせたからそういう音になったのかは不明です。

 ブレッドボード上の配線と試作写真は下記の通りです。

実体図3 写真3