ブレッドボードラジオゲルマラジオ

バイアス電源付きゲルマラジオ

 ゲルマラジオは微小な信号を相手にするので、検波には順方向電圧の低いゲルマニウムダイオードやショットキーダイオードが使われます。しかし、バイアスをかけてやればシリコンダイオードでも検波できるとのことなので、実験してみました。

シリコンダイオードでの検波

第1図

 今回試作した回路は第1図の通りです。検波には小信号用のシリコンダイオード1S1588を用いました。アンテナ端子に電灯線アンテナをつなぐと、当地のローカル局は3局とも十分な音量で、混信もなく受信することができました。

 最初、バイアス電圧を細かく調節する必要があるのかと思い、電池の電圧をボリュームで分圧する回路にしました。しかし実際に受信してみると、バイアス電圧はかなりアバウトでもよいことがわかったので、上のようなシンプルな回路になりました。

 バイアス電圧の与えかたは、トランジスタ回路と同じく2通り考えられます。そこで図の1番と2番の両方を試してみたところ、どちらでも同じように聞こえました。別のところで書いたように、ゲルマニウムダイオード (1N60) で検波すると、低音は良く出るものの少し音が歪みます。一方ショットキーダイオード (1SS108) では歪は出ない代わりに低音が少し不足する感じです。これに対し1S1588で検波した場合は、1N60と同じくらいに低音が出て、しかも歪のない聞きやすい音でした。

 ブレッドボード上の配線図と完成写真は下記のとおりです。回路は第1図の1番です。

実体図1 写真1

その他のダイオードでの検波

第2図

 1S1588での検波がうまくいったので、他のダイオードも試してみました。上図1番はシリコントランジスタ2SC1815のベース・エミッタ間で検波するものです。1S1588と同じようによく聞こえます。2番は電源整流用のダイオード1N4007を使用したものです。定格は1000V・1Aです。このダイオードの場合、バーアンテナの白 (W) タップにつなぐと同調周波数が下がってバンドの高い方の局が受信できなくなります。そのため緑 (G) タップを使用しました。音はやや小さくなりますが、音質は良好で混信もありません。

 3番は赤色発光ダイオードTLR124を用いた回路です。発光ダイオードは順方向電圧が高いのでバイアス電源を3Vにしました。また、2番と同じく同調周波数が下がるので、バーアンテナの緑タップにつないでいます。音量・音質とも2番の回路とほぼ同じです。発光ダイオードは緑色 (TLG124) でもOKでした。なお、当然ながらこの状態ではダイオードはまったく発光しません。

 このほか、定電圧ダイオードや可変容量ダイオードも試してみましたが、さすがにこれらはNGでした。

(以下、2007年8月21日に追記)

LEDに光でバイアスをかける

 これは、傘ラジオで有名な「東京高専 小池・阿津研究室」のホームページに出ていたアイディアです。LEDは電圧をかけると光を発する部品ですが、逆にLEDに光をあてると端子間に電圧が発生します。この性質を利用して、LEDに太陽光によってバイアスをかけて検波しようというものです。

第3図

 回路は上図の通りです。最初に左の1番を試してみました。普通のゲルマラジオの検波ダイオードをLEDに換えただけです。LEDはOSHR5111A-TUという型番の超高輝度赤色タイプを用いました。直径5mmで無色透明のものです。光度は10〜14cdとのことです。価格は1個20円でした。

 ブレッドボードに組み立ててLEDに太陽の光をあててみたところ、たいへんよく聞こえました。感度・音質共にまったく問題ありません。曇り空でも何とか聞こえますが、光量が足りないと音が歪みます。夜間でも、卓上型の蛍光スタンドに5cmくらいまで近づけるとちゃんと聞こえました。ちなみに、晴天時はLEDの端子間に約1.5Vの電圧が発生していました。LEDの向きはどちらでも同じです。アンテナは電灯線アンテナをつなぎました。アースは付けていません。

 上記ホームページによると、クリスタルイヤホンに直流電圧をかけたままにしておくとイヤホンが傷むそうです。そのためイヤホンに直流がかからないようにする回路も紹介されています。第3図の2番がそれです。これも試してみたところ同じようによく聞こえました。この回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に掲げます。

実体図3 写真3