ブレッドボードラジオメーカー品ラジオ

AMスーパーラジオキット "ヲジラ"

 エスケイ電子 (シーズキット) の中波スーパーラジオキット「ヲジラVX-341」を紹介します。スーパーラジオ用IC・LA1600とTR3石のOTL低周波アンプからなるラジオです。このキットは10年以上前に購入したもので、現在はもう販売されていないようですが、LA1600は今も入手できますので、個別に部品を集めて自作することは可能です。

外観と受信性能

 写真1

 上にこのラジオの完成写真を掲げます。一見、昔のカセドラル型真空管ラジオを思わせる外観です。部品の付いたプリント基板がそのまま前面パネルになっています。上部には5cmスピーカー、下左はボリュームツマミ、下右はチューニングツマミです。なお都合によりツマミはオリジナルとは違うものを付けてあります。シャーシ部分もプリント基板になっていて、こちらにはバーアンテナと電池ケースが付いています。2枚の基板はL字金具で固定し、パターンのランドどうしをハンダでブリッジすることで連結します。外形寸法は幅104mm、高さ125mm、奥行き74mmです。電源電圧はDC3Vで、単3型電池を2本使用します。

 感度及び選択度は大変良好です。昼間はローカル局に加えて隣県の放送局も聞こえました。夜間には国内外の遠距離局が多数受信できます。電器屋さんにぶら下がっている1000円くらいのポケットラジオと同等の性能があると思います。選択度が良い上にバリコンのツマミが小さいので、チューニングはやりづらいです。ノイズやビートはなく音質もまずまずですが、やはり5cmのスピーカーではそれなりの音しか出ません。

回路と部品

 第1図

 上記がこのラジオの回路図です。LA1600はAMスーパーラジオ用のSIP型9ピンICです。このICの出力に3石SEPPアンプをつないでスピーカーを鳴らします。バーアンテナは直径10mm、長さ70mm、OSCコイルとIFTはともに7mm角のものが使われています。IFTの出力にはセラミックフィルタが付いているので選択度は良好です。消費電流は無信号時19mA、ローカル局を聞いているときは35mAくらいでした。ICに流れるのは約4mAで、残りは3石アンプが消費しています。

 組立説明書によると、私が購入した製品はバリコンの仕様が変わったとかで、C1が2pFから10pFに、C2が4pFから2pFに変更されていました。受信範囲を調べてみたところ、下を530kHzに合わせると上限が1550kHzくらいになり、わずかに中波帯をカバーできませんでした。C2をもっと小さくするか取ってしまえばいいのかもしれません。

基板の写真と実体配線図

 下に各部分の写真とプリント基板の実体配線図を掲げます。実体配線図は、前面パネルは部品面 (正面) から透視した形、シャーシは銅箔面から見た形で描きました。バリコンとボリュームの端子はシャーシ側の基板にハンダ付けしてあります。パネル基板とシャーシ基板の連絡は、下の図では導線でつないだように描きましたが、実際は両者をL字型に組み合わせたときパターンが接する部分にハンダを盛ってジャンパーする構造になっています。また、バーアンテナは端子付きのホルダーと一体になっていてリード線の識別が難しいですが、どうも2次巻線の極性が回路図とは逆になっているように思います。

 写真2

 第2図

 写真3