ブレッドボードラジオ電源回路

トランジスタを用いたリップルフィルター

 トランジスタ1石式のリップルフィルターを組んで、どれくらいリップルが減るのか実験してみました。

実験回路1

 実験した回路は上記の通りです。トランジスタは2SD2012を用いました。60V,3A,25Wのパワートランジスタです。放熱器は付けていません。事前にhFEを測定したところ、コレクタ電流が50〜150mAの範囲内では450前後でした。
 実験では、出力電流を変えたとき、トランジスタの入力側(コレクタ)と出力側(エミッタ)の電圧がどう変化するか、またリップル電圧はどれくらいになるか調べました。定数の決め方がわからないので、回路例を参考にいろいろなRやCをとっかえひっかえして実験しました。
 まず、C2を10μFにして、Rを470Ωから10kΩまで変えたときの実験結果を下に示します。表中、VcとVeの単位はDCV、VrはACVです。

R
Io=50mAIo=100mAIo=150mA
VcVeVr VcVeVrVcVeVr
0.4721.320.60.054 19.218.40.1017.316.50.16
1.021.120.40.027 19.018.10.05217.216.00.086
2.221.120.20.013 18.917.80.02417.115.70.033
4.721.220.10.005 19.117.40.01117.215.00.015
1021.219.60.003 19.016.40.00517.213.30.007

 リップルフィルターがないとき(C1だけのとき)のリップル電圧は、「平滑コンデンサのはたらき」のページで実験した通り、Ioが50mAで0.20V、100mAで0.36V、150mAで0.51Vでしたから、リップルフィルターを付けたことで10分の1程度に減少したことになります。これならラジオの電源としても使えそうです。ただし、これだけリップル電圧が小さくなっても、出力にクリスタルイヤホンをつなぐとやっぱりハム音が聞こえます。Rが大きいほどリップル低減の効果も大きくなりますが、同時にトランジスタでの電圧降下も大きくなって、出力電圧が低くなります。

 次に、Rを2.2kΩに固定して、C2を変える実験をしました。下表の通り、リップル電圧はコンデンサの容量に反比例します。出力電圧はほとんど変わりませんでした。上の表でもそうですが、測定値にでこぼこがあるのは、実験中にACライン電圧が変動するためです。

C
μF
Io=50mAIo=100mAIo=150mA
VcVeVr VcVeVrVcVeVr
4.721.320.40.024 19.118.00.04817.315.80.068
1021.120.20.013 18.917.80.02417.115.70.033
2221.320.50.006 19.118.00.01017.315.80.014

 (2005年6月16日)

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