ブレッドボードラジオ電源器の製作

真空管ラジオ用電源器 その1・改

 前作「真空管ラジオ用電源器 その1」では、ヒーター電圧の調節にボリュームを用いましたが、実際に使ってみると、実験のたびに電圧を合わせるのはけっこう面倒でした。そこで、6V,0.5Aの巻線が2つあるトランスを使い、ヒーター電流の大小によって1巻線単独あるいは2巻線並列の2段階にスイッチで切り換える方式に変えました。それ以外の部分は前作とほぼ同じです。

外観の写真

 回路図、実体配線図、内部の写真を下に掲げます。例によって、電源スイッチはヒーター電源用とB電源用に分かれています。CR部品は6Pの立てラグ板に取り付けました。出力端子は無線機用の3Pマイクコンセントです。出力端子のマイナス側がACラインの片方と直結されていますので、使用の際はACプラグの極性に注意する必要があります。ケースの寸法は間口65mm、高さ50mm、奥行100mmです。

回路図

実体配線図

内部の写真

出力電流出力電圧
SP-605WSP-631
単独並列
07.02V7.02V7.43V
0.15A6.77V6.86V7.25V
0.30A6.53V6.70V7.07V
0.45A6.28V6.55V6.90V
0.60A-6.41V6.71V
0.75A-6.24V6.53V
0.90A-6.07V6.35V
1.00A-5.97V6.23V

 なぜヒーター電圧の高低に神経質になるかというと、いろいろな本に「ヒーター電圧が規定値より高いと真空管の寿命(カソードの寿命)が短くなる」と書いてあるからです。その一方、定格電圧より低いヒーター電圧での使用は、10%程度までならば真空管の動作にはそれほど影響はなく、かえって寿命が延びるので好ましいとのことです。

 昔だったら真空管がだめになってもすぐ代わりが買えたでしょうが、現在では同じ真空管が再び手に入るとは限らないし、あっても価格が数倍に値上がりしていたりします。なので、手持ちの真空管をなるべく大事に使いたいと思っています。ラジオ内部の電源回路ならそのラジオのヒーター定格に合わせたトランスを使えばよいのですが、独立した電源器としていろいろな実験に使用する場合は、ヒーター電圧が高くなりすぎないように調節できたほうが安心です。

 本器のヒータートランスSP-605Wで1巻線を単独で使用したときと2巻線を並列にしたとき、および、前に作った電源器で使用したSP-631(6.3V,1A)の、出力電流と出力電圧の関係を実測して表にしました。SP-605Wは定格電圧が6.0V、SP-631は6.3Vであることに注意してください。

 最後に、本器の製作に使用した部品のリストを掲げます。

 (2006年10月11日)

 電源器の製作 目次へもどる
 トップページへもどる