ブレッドボードラジオFMラジオ

TDA7000 FMラジオ

TDA7000  TDA7000というICを使ったFMラジオを作りました。TDA7000はおそらく1980年代の初め頃に登場したICで、ワンチップFMラジオの先駆けとなったものです。形状は左の写真のように18ピンDIP型です。回路はスーパーヘテロダインですが、中間周波数が70kHzと極端に低いのが特徴です。現在でもいくつかの通販店で入手できます。私は大阪の共立エレショップから購入しました。

イヤホンで聞くFMラジオ

 第1図

 上記はクリスタルイヤホンで聞くFMラジオの回路図です。フィリップスのデータシートを参考にしました。TDA7000には低周波増幅回路まで入っていますので、出力端子にイヤホンをつなげばすぐ鳴ります。局部発振コイル (L) はFCZコイルの7S144MHz、バリコンはFM用20pF2連のポリバリコンの片側を用いました。アンテナ側は非同調です。アンテナ端子に2mのビニール線をつないで受信してみたところ、なんとか当地・石川県金沢市のローカル局をすべてキャッチすることができました。同調はかなりシャープですが、きちんと合わせれば雑音もなく良い音で聞こえます。ちなみに当地のローカル局は下記の4局です。

 FMラジオの実験をするたびに経験することですが、時間帯によって各局の電波の強さが変化します。そのため常に上記の4局すべてが受信できるわけではありません。電波が弱くなると、低周波出力のレベルの大きいところで (音楽などのとき) ジャリジャリという雑音が入ります。また局間のノイズがけっこう耳障りです。R1 (10kΩ) を取るとミュートがかかって少し静かになりますが、その反面感度が若干落ちるようです。

 受信範囲は55〜84MHzくらいだと思います。ブレッドボードで組んでいるためか、FMバンドの上半分は受信できません。当地のローカル局はすべてバンドの下の方にあるので助かります。オフバンドでは、60MHzあたりで中波のMRO北陸放送 (1107kHz)、67MHzあたりでNHK金沢第1放送 (1224kHz) が受信できました。これは何でしょう。音質はFMっぽい感じです。放送局と送信所を結ぶ中継波でしょうか。単なるスプリアスかもしれませんけど。

(追記 2007年11月8日。上記について千葉市の斎藤様よりメールで、演奏所から送信所への中継波に間違いないとのご教示をいただきました。ありがとうございます。)

 電源電圧は6Vにしましたが、3〜9Vの範囲なら動作します。3Vにすると少し感度が悪くなるようです。一方9Vに上げても6Vのときとあまり変わりませんでした。ブレッドボード上の配線図と完成写真は下記の通りです。

実体配線図1 写真1

部品の数を減らす

 第2図

 第1図の回路ではコンデンサが多数使われています。ほんとにこれだけ付けないと聞こえないのか、ひとつずつはずしてみました。その結果、第2図のような回路でも一応受信には差し支えないことがわかりました。第1図の回路より部品の数が10個減っています。これ以上減らすと、ノイズが出たりまったく聞こえなくなったりします。もっとも、どの部品もそれぞれ理由があって付いているわけで、むやみに省略するのはよくないと思います。

コンデンサをマイナスにつなぐ

 第3図

 第1図の回路はほとんどのコンデンサが電源プラス側につながっています。TDA7000に限らず、ラジオICではそうなっているものをよく見かけます。第3図はコンデンサをすべて電源マイナス側につないでみたものですが、これでも変わりなく受信できました。両者はどういう違いがあるのでしょう。ブレッドボード上の配線図と試作写真を下に掲げます。

実体配線図3 写真3

スピーカーを鳴らす

 第4図

 上記は、第1図の回路に低周波アンプをつないでスピーカーが鳴るようにしたものです。アンプICはNJM386BDを用いました。まずまずの音量で鳴りますが、ボリュームを最大にすると発振してしまいます。デカップリング回路を追加したり各所にバイパスコンデンサを入れたりしましたが、うまくいきませんでした。でもボリュームを最大から少し絞れば発振は止まるので、とりあえず実用にはなります。ボード上の配線図と試作写真を下に示します。

実体配線図4 写真4