ブレッドボードラジオトランジスタラジオ

高周波増幅1石ラジオ

 トランジスタで高周波増幅した後、ダイオードで検波してイヤホンを鳴らす1石ラジオについていろいろ実験してみました。

1. 抵抗負荷

回路図1

 第1図は、高周波増幅回路の負荷を抵抗にした回路です。2mのアンテナで、ローカル局は十分な音量で鳴ります。高周波増幅回路の負荷はコイルを用いるのが一般的ですが、ローカル局だけを相手にするのであれば、抵抗負荷の方が扱いが楽だと思います。
 「低周波増幅1石ラジオ」の項の第1図の回路と同じく、この状態ではトランジスタは検波もするので、ダイオードをショートしても放送が聞こえます。ただし音量は小さく、しかも硬い音になります。検波ダイオードにはショットキーダイオードの1SS108を用いました。
 これまでの1石ラジオと同様、イヤホンの一端はプラスにつないでもマイナス(アース)につないでも同じです。
 ボード上の配線と完成写真は下記の通りです。

実体配線図1 写真1

2. チョークコイル負荷

回路図2

 第2図はコレクタの負荷をチョークコイルにしたものです。1石高一ラジオと言えばこの形が普通だと思います。聞こえ方は第1図の回路とほとんど同じですが、コレクタ電流を増やすに従って分離が悪くなるので、バイアス抵抗(R)を大きくしました。
 L2は2〜4mHの範囲なら同じように聞こえます。1mHにすると発振しました。
 この回路はコレクタに低周波が出てこないので、ダイオードをショートすると完全に聞こえなくなります。
 ボード上の配線と完成写真は下記の通りです。

実体配線図2 写真2

3. 倍電圧検波

回路図3

 第3図は、ダイオードを2個用いて倍電圧検波としたものです。2倍とは言いませんが、確かに音が大きくなります。特に低音がよく出て聞きやすくなる感じです。
 ブレッドボード上の配線と完成写真は下記の通りです。

実体配線図3 写真3

回路図4

 第4図は、倍電圧検波の際のダイオードのつなぎ方を示しています。1番は第3図の回路と同じ、2番はダイオードの極性を2個同時に反対にしたものです。3と4は、コレクタとアース間にダイオードをつないだ形です。
 上記の1石ラジオは、1から4のどれでも同じように動作します。

4. FETで高周波増幅

回路図5

 第5図は、FETで高周波増幅する1石ラジオです。高周波増幅には普通のトランジスタよりFETの方が向いていると言われますが、中波のような低い周波数ではどちらでも同じような感じです。
 ソースに抵抗を入れずに直接アースしても動作するのですが、消費電流が増えるので2.2kΩの抵抗とバイパスコンデンサをつなぎました。この抵抗を10kΩくらいまで高くしても、ローカル局を聞く限り聞こえ方にほとんど変化はありませんでした。また、FETは2SK241Yに差し替えても変わりなく動作しました。
 「FETは入力インピーダンスが高いので、同調コイルをタップダウンする必要がない」と書いてある本もありますが、このラジオでバーアンテナのタップを緑から白につなぎかえると、やはりローカル局どうし多少混信するようになります。
 ブレッドボード上の配線と完成写真は下記の通りです。

実体配線図5 写真5

5. 短波ラジオ

回路図6

 第6図は、第5図の回路の短波ラジオ版です。同調コイルにはFCZの10S9MHzを用いました。ソース抵抗やチョークコイルの値は、実際に放送を聞きながら調整しました。ある程度電流を流した方が感度が良くなるようです。
 受信周波数帯は、2mのワイヤアンテナをつないだ状態で6〜21MHzです。まる一日ワッチして、約50局受信することができました。詳細は下記のリストをご覧ください。1石ラジオとしては感度はまあまあだと思いますが、選択度は前に作った短波ゲルマラジオより若干ましかなという程度です。数百kHzの範囲内にある強い局は全部ごちゃ混ぜに聞こえてきます。
 ブレッドボード上の配線と完成写真を下に掲げます。

実体配線図65 写真6

FET1石高一短波ラジオで受信できた局

 2004年11月中旬、石川県金沢市で受信。アンテナは2mワイヤ。
 周波数はデジタル式短波ラジオで確認しました。時間はJSTです。

 (2004年11月19日)