ブレッドボードラジオトランジスタラジオ

1石レフレックスラジオ

 いまさら説明するまでもないでしょうが、レフレックスというのは、同じトランジスタで高周波増幅と低周波増幅を同時に行なう方式です。1石ラジオと言えばこれが定番だと思います。

1. 標準的な回路

回路図1

 1石レフレックスラジオの製作記事はいろいろな本や雑誌にたくさん載っています。それぞれ少しずつ回路が違いますが、第1図のような回路が標準的なものではないかと思います。
 ブレッドボードに組んで聞いてみると、さすがはレフレックス、バーアンテナだけでもローカル局が十分な音量で受信できました。ただ、ローカル局のうちいちばん強い局が隣の局に少し混信します。アンテナ端子に15cmくらいのビニール線をつなぐと、ローカル局はうるさいくらいに聞こえ、夜には遠距離局が10局以上受信できました。

 これまで実験した1石ラジオでは、トランジスタのバイアス抵抗は回路図に示した値の半分とか2倍でも問題なく動作します。しかし今回の1石レフレックスはバイアス抵抗(R1)の最適範囲が比較的狭く、330k〜680kΩあたりです。これより大きくても小さくても感度が悪くなります。そのため、実用にするにはバイアス回路をもっと安定なものにする必要があるかもしれません。

 検波ダイオードはいつものようにショットキーダイオードの1SS108を使いました。ゲルマニウムダイオードの1N60をつなぐと少し音が小さくなりました。
 雑誌の製作記事の中には、R2やC4が付いてないものも見うけられます。実際、この2つの部品を取り去ってしまってもほとんど変化がありませんが、他の部品の定数やアンテナの長さによっては若干音が歪むようにも感じられるので、とりあえず付けたままにしておきました。  また、イヤホンの一端は電池のプラスにつないでいますが、これをアース側につないでも同じように聞こえます。

 ブレッドボード上の結線図と完成写真は下記の通りです。

実体配線図1 写真1

2. 負荷をトランスにする

回路図2

 第2図は、第1図の回路のコレクタ負荷を抵抗からトランスに換えたものです。
 トランス負荷にするとだいぶ音が大きくなり、その上低音も良く出ます。抵抗負荷で15cmのアンテナをつないだ場合と、トランス負荷でバーアンテナだけにした場合とで、同じくらいの音量です。電波の強いところでは音量ボリュームが必要かもしれません。ボリュームを付ける場合は、R2を可変抵抗器に換えるのが通例です。

 トランジスタ用トランスとクリスタルイヤホンの組み合わせというのはいかにも音が悪そうなイメージがありますが、実際に聞いてみるとまんざらでもありません。ただ、AM放送はもともと高音が出ませんから、やたらに低音ばかり出てもバランスが取れないということはあると思います。
 また、図の右に示したように、トランスをST-32(1.2kΩ:8Ω)に換えると、マグネチックイヤホンを使うことができます。クリスタルイヤホンに比べると少し音は小さくなりますが、十分実用になります。コレクタ電流を増やすと音量は増しますが分離が悪くなります。

 このラジオは第1図の回路のR3をトランスに置き換えただけなので、実体図と写真は省略します。

3. 検波回路の違い

回路図3

 第3図の回路は、検波ダイオードの出力側をコンデンサではなく抵抗でつないだものです。これでもよく聞こえますが、第2図の回路に比べると少し音が小さいです。R1とR2をいろいろ調整してみても、第2図の回路ほど大きな音にはなりませんでした。
 この回路は検波ダイオードに直流が流れますので、D1,D2の極性は回路図通りでないと動作しません。第1図や第2図の回路はコンデンサで直流をカットしているので、2個のダイオードを同時に反対向きにしても動作します。
 ゲルマニウムトランジスタの時代には、R2がない(直結になっている)回路がありました。ゲルマニウムトランジスタは順方向電圧が低いので直結でもOKだったようですが、シリコントランジスタではこの方法はうまくいきません。

(追記:2005年4月)
 その後いろいろ調べてみると、シリコントランジスタを使用したレフレックスラジオでも、検波ダイオードの出力側が直結になっているものがいくつかありました。かならずしもだめなわけではなさそうです。
(追記ここまで)

 ボード上の配線と完成写真は下記のとおりです。

実体配線図3 写真3

4. バーアンテナのつなぎかた

回路図4

 「トランジスタ検波1石ラジオ」のところでも書きましたが、バーアンテナコイルとトランジスタ回路を接続する方法は第4図のように4通り考えられます。
 1番は二次巻線のあるバーアンテナを用いた場合で、第1〜3図の回路もこれです。ラジオ雑誌などに登場するレフレックスラジオのほとんどがこのタイプです。
 少数ですが単巻線のバーアンテナを使用した製作例があり、その場合のつなぎかたは2番のようになっています。PA-63Rを使って試してみたところ、1番と同じようによく聞こえました。
 3番や4番もやってみましたが、音が小さくてだめでした。レフレックスではない普通の1石ラジオ並みの感度です。その上分離も悪くなります。

5. FETを使ったレフレックスラジオ

回路図5

 第5図はFETを用いた1石レフレックスラジオです。製作例が少ないので、試行錯誤を繰り返しながら回路や定数を決めました。これでなんとか第1図の回路と同じくらいの感度になりましたが、もっとうまいやり方があるかもしれません。
 ボード上と配線と完成写真は下記の通りです。

実体配線図5 写真5

6. FETを使ったレフレックスラジオ(その2)

回路図6

 第6図もFETを使った1石レフレックスですが、別項の「6BH6単球レフレックスラジオ」と同じ形にしてみました。1.5Vの電源電圧ではどうやっても音が小さいので3Vにしました。電流も増やしたので、結果的に第5図のラジオより大きな音が出ます。

実体配線図6 写真6

7. デュアルゲートFETを使ったレフレックスラジオ

回路図7

 第7図は、デュアルゲート(4本足)FETの3SK22を用いたレフレックスラジオです。「ラジオの製作」で紹介されていました。G1に高周波、G2に低周波を入力します。第1図の回路と同程度の性能ですが、電源電圧は9V必要です。消費電流も多くなるので、わざわざこういうFETを使うメリットがあるのかどうか・・・。
 なお、G2に高周波、G1に低周波を入力する(G1とG2を逆にする)と、音がやや小さくなり、また「シー」というノイズが出ます。
 ボード上と配線と完成写真は下記の通りです。

実体配線図7 写真7

 (2004年11月23日)
 (2004年12月21日 第6章以降を追加。説明文を一部改訂)