100円ラジオのダイソーから、今度は300円のAMラジオが発売されました。さっそくひとつ購入していろいろ調べてみました。
上に外観と内部の写真を掲げます。今回の300円ラジオにはステレオイヤホンが付属しています。このイヤホンも多分100円だと思うので、実質200円ラジオということになりましょうか。乾電池は単4型が2本必要で、これは別売りです。外観は、前の100円ラジオに比べるとだいぶ洗練されたデザインになっています。100円ラジオでは電源スイッチと音量ボリュームが兼用でしたが、今度のラジオでは電源スイッチが独立し、LEDによるパイロットランプが付きました。また、写真ではわかりにくいと思いますが、背面にはベルトに掛けるためのフックが付いています。裏ブタは電池ボックスの部分だけが別に開けられるようになっています。
100円ラジオはトランジスタ3石式でしたが、今回の300円ラジオは、TA2003Pという16ピンのラジオICと、トランジスタ2石による低周波増幅回路から成っています。実際に放送を聞いてみると、なかなか良い音質です。特に低音がよく出ています。パッケージにも「音声増幅にダーリントン接続回路搭載」とわざわざうたっていますので、音質の良さがセールスポイントのひとつなのでしょう。ただ、音量ボリュームを上げると「シー」というノイズが耳につくようになります。これは100円ラジオでも同じです。また、100円ラジオではバンド内の数ヵ所でビート音が聞こえましたが、このラジオでは1ヶ所だけ(1250kHzあたり?)でした。
感度は100円ラジオと同程度だと思います。しかし選択度はあまり芳しくありません。これがこのラジオの最大の欠点です。100円ラジオでは、ダイヤル上でローカル局とローカル局の間に無音になる部分がありましたが、300円ラジオでは隣り合うローカル局のすそ野が交差している感じです。上の図はそのあたりのイメージを表わしています。当地では1107, 1224, 1386kHzにローカル局が出ているのですが、中波の上半分で遠距離局を受信しようと思っても、たえずローカル局のどれかが混信してしまいます。
100円ラジオでやったように、プリント配線をたどって回路図を作ってみました。電源スイッチは電池のマイナス側に入っています。この点は100円ラジオと同じです。また、高周波部分のアースはいったん電池のプラスにつながり、そこからコンデンサを介してマイナス側にアースされています。IFTは使われておらず、セラミックフィルタが1個付いているだけです。だから選択度が悪いのでしょうか。「愛しのB級ラジオ博物館」のラヂオクマ氏は、セラミックフィルタを2段にして選択度をアップさせたとのことです。さすがですね。
TA2003PはFM受信機能もあるICです。ポリバリコンもAM/FM用のものが使われているので、部品を追加すれば2バンドラジオに改造できるかもしれません。私の技量では無理ですが・・・。新品の乾電池をつないだ場合の消費電流は28mAで、イヤホンラジオとしては少し多いように感じます。ICに6mA、LEDに1mA流れ、残りは2石アンプが消費しています。音量ボリュームの位置に関係なくこれだけ流れます。下にプリント基板のパターンと部品配置図を示します。部品取り付け面から透視した形で描いています。
このラジオにはステレオイヤホン(16Ωx2)が付属していますが、100円ラジオ用の32Ωのモノラルイヤホンを挿しても同じように聞こえました。そのへんのからくりについては下の図を見てください。ステレオのプラグ・ジャックには、左、右、共通の3つの端子があります。このラジオの出力は左端子と右端子につながっているため、ステレオプラグを挿すと左右のイヤホンが直列に接続される形になります。一方モノラルプラグを挿した場合は、イヤホンジャックの左端子と共通端子がショートされるので、ちゃんと問題なく聞こえます。
(追記 2007年2月15日。このページをご覧になったIさんから、下図のステレオジャックの接続が左右逆になっているとのご指摘をいただき、訂正いたしました。Iさん、ありがとうございます。)