(2006年6月21日)
前項で実験したタイマー回路の簡単な応用例をいくつか試してみました。特に目新しいものはありませんが。
第1図はプッシュオフタイプの押しボタンスイッチ(ボタンを押すと接点が離れる)でトリガをかけるものです。
第2図はタイマー時間をボリュームで調節できるようにした回路です。タイマー時間を1秒から100秒まで変えられます。
第3図はリセットスイッチを付けたものです。タイマー動作中にS2をチョンと押すと、4番端子(リセット)が一瞬Lレベルになり、タイマー動作が中断してスタンバイ状態に戻ります。
第4図はICの出力と電源プラスの間にもLEDをつないだものです。S2(電源スイッチ)を入れるとLED1が点灯します。S1(トリガスイッチ)をチョンと押すとLED1が消灯してLED2が点灯します。タイマー時間が終わってスタンバイ状態に戻るとLED2が消えてLED1が再び点灯します。
第4図の回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。S1はプッシュオンとプッシュオフが組み合わさった3Pのプッシュスイッチです。
第5図は出力に電子ブザーをつないだ回路です。タイマー時間中ブザーが鳴ります。
第6図はメカニカルブザーをつないだものです。こういうタイプのもの(電磁石を使ったブザー)をつなぐときは、ICの保護用にダイオードを入れたほうがいいかもしれません。回路図に示した電流値はブザーが鳴っているときのものですが、個々のブザーによって消費電流はかなり違ってきます。
第7図はIC出力にリレーをつないだものです。何も問題なさそうですが、この回路は実際にやってみるとうまく動作しませんでした。S1を押すとリレーがオンになるのですが、タイマー時間が過ぎてもリレーがオフにならず、動作しっぱなしになります。
インターネットで調べてみたところ、「The Electronics Club」というサイトに、「リレーがオフになる瞬間、リレーコイルの性質によりICに再びトリガがかかり、いつまでもタイマーがオフにならないことがある」という説明がありました。
第8図のように、IC出力とリレーの間にD1というダイオードを入れるとこの問題は解決します。このダイオードはリレーコイルの電流を十分に流せるものが必要です(10E1の定格は100V, 1A)。D1はリレーコイルとGNDの間に入れてもOKです。ダイオードを入れたことでリレーにかかる電圧が少し低くなりましたが、ちゃんと動いてくれました。
なお、D2はリレーコイルの逆起電力からICを保護するためのものです。
第9図はリレーのNO,NC接点にそれぞれLEDをつないだものです。NC接点はリレーがオフのとき閉じています。リレーコイルに電流が流れるとNC接点が開いてNO接点が閉じます。この回路は、電源を入れるとLED1が点灯、S1を押してタイマーがスタートするとLED1が消えてLED2が点灯します。タイマー時間が終わるとLED2が消灯してLED1が再び点灯します。つまり第4図の回路と同じ動作です。
この回路のブレッドボード上の配線と試作写真は下記の通りです。リレーはD2といっしょに小さい基板に取り付けてあります。
ICの出力に動作電流の大きなものをつなぐときは、第10図のように間にトランジスタを入れます。図の左は、NPN型のパワートランジスタのコレクタにリレーをつないだもので、タイマー時間中だけリレーがオンになります(第8,9図と同じ)。図中に示した電圧値はタイマー時間中(リレーが動作中)のものです。
右はPNPトランジスタを使った回路で、スタンバイ時にリレーがオンになっていて、タイマー時間中だけリレーがオフになります。今回の実験はリレーが小さいので図の定数でも動作しましたが、PNPトランジスタを使うときはR3をもっと小さくしたほうがいいと思います。
もっとも、LM555CNはけっこう馬力があるので、これくらいのリレーなら直接つないでも余裕でドライブできます。
第11図は2.5V, 0.3Aの定格の電球を一定時間点灯させる回路です。電源電圧を3Vにして、ICはC-MOS型のLMC555CNを用いました。LMC555CNは消費電流が0.1mAとわずかです。ただし出力電流は10mAくらいしか取れませんので、負荷のドライブにはトランジスタが必要です。
第12図はLMC555の出力にオルゴールIC・UM66Tをつないだものです。オルゴールICは1コーラスの長さが約37秒なので、タイマー時間がそれくらいになるようにR2とC1の値を選びました。スタートスイッチを押すと曲が1コーラス流れてとまります。もし曲の途中で止まっても、次にスタートスイッチを押したときは曲の最初から演奏が始まります。