(2005年1月10日)
AM/FMラジオ用IC・TA7792Pを使ったFMラジオの実験をしました。TA7792Pは、少ない外付け部品でスーパー方式のFMラジオを作ることができる便利なICです。ブレッドボードでFMラジオはどうかと思いましたが、まずまずの成果が得られました。
第1図はクリスタルイヤホンで聞くFMラジオです。電源は1.5Vの乾電池1個でOKです。
アンテナコイル(L1)とOSCコイル(L2)はともに7mm角のFCZ144MHz、バリコンは20pFのFM用2連ポリバリコンの片側を用いました。アンテナ側の同調は固定にして、OSC側のみバリコンで同調を取ります。FCZ144MHzコイルはシールドケースに入っていますが、ケースはアースしていません。IFTのケースはアースしました。
2mのアンテナをつなぐと、地元のFM局(76.3, 78.0, 80.5, 82.2MHzの4局)はすべて受信することができました。感度に関しては、市販のFMラジオにロッドアンテナで受信した時とだいたい同じくらいだと思います。
音量は十分です。局によってはちょっとうるさいくらいに大きく聞こえます。また局間ノイズもかなり耳障りなので、音量ボリュームをつけました。
チューニングはかなり微妙で、放送にぴったり合わせるのは神経を使います。少しでもずれているとザーというノイズがはいってきます。でも、一度きちんと合わせればあとは安定して受信できます。ボディエフェクトもありません。
ただ、本機ではFMバンドの下半分しか受信できません。幸い、当地のFM局は上記のようにすべてこの範囲におさまっているので、とりあえず不都合はありませんが、OSCコイルのコアをかなり抜いた状態で、バリコンを最小にしてようやく82.2MHzの局が入るといった具合です。逆に、バリコンの容量の大きいところではイメージと思われる信号(60MHz台?)が受信できます。
これはたぶん、ブレッドボードに組んだせいでソケット間のストレー容量などが影響しているのだと思います。プリント基板を使ってコンパクトに仕上げればちゃんとFMバンドをカバーできるのでしょう。
それと、30分ぐらい聞いていると突然プツンと音が途切れてノイズだけになってしまうことがあります。こうなると再度バリコンを回しても何も聞こえなくなります。数十秒で自然に元に戻ることもありますが、だめなときは一度電源スイッチを切って入れ直す必要があります。
ブレッドボード上の配線図と完成写真は下記のとおりです。ブレッドボードでは配線の仕方は何通りも考えられますが、部品の配置を変えると動作が不安定になることもありました。
第2図は、TA7368Pという低周波アンプICを使ってスピーカーが鳴るようにしたものです。電源電圧は、アンプICの関係で3Vに上げました。
ラジオICの電源ラインに1kΩの抵抗が入っています。これがないと、ピーピー言うばかりで何も受信できなくなります。3Vでは電圧が高すぎるのか、それともデカップリングの役割をしているのか、理由はわかりませんが、とにかくここに抵抗が1本必要でした。
ラジオ雑誌の製作記事では抵抗の代わりに10μH程度のチョークコイルを入れてある回路も見たことがありますが、今回の実験ではチョークコイルではうまくいきませんでした。
ブレッドボード上の配線図と写真を下に示します。