秋月電子通商のDDSキットを作りました。動作原理はまったくわかりませんが、1Hzから約16MHzまで、1Hzステップで正弦波を出力することができる発振器です。周波数は付属のスイッチまたはマイコンプログラムで設定します。
キットには専用のプリント基板と詳しい説明書が付いているので、組み立てはそれほど難しくありません。1時間ほどで完成すると思います。でき上がりの写真を下に示します。基板中央の足がたくさんあるICは初めから取り付け済みになっているので助かります。基板のサイズはヨコ70mm、タテ50mmです。
DDSを動作させるには、パラレルモードとシリアルモードという2つの方法があります。パラレルモードにすると基板上のDIPスイッチで出力周波数を設定することができます。マイコンでプログラムを組んで動かすときはシリアルモードにします。ここではパラレルモードで動作テストをしました。
モードの切り替えは基板上のジャンパー線によって行ないます。パラレルモードにするには、「P」と書かれた2つの穴をジャンパーします。そのあと電源端子をDC5Vの電源につなぎます。出力端子からもリード線を出しておきます。下の図のようになります。
出力周波数はSW1〜SW3の計24個のスイッチで設定します。上の写真と図はすべてのスイッチがオフになっている状態を示しています。このときICの端子の状態はすべて「1」です。スイッチをオンにする (レバーを基板の内側方向へ動かす) と端子はGNDへアースされます。この状態が「0」です。各スイッチを「1」(OFF) にしたときの出力周波数 (単位はHz) は下記の通りです。複数のスイッチを「1」にした場合は、それぞれのスイッチに対応する周波数の合計が出力周波数になります。最下位のSW1-1 (0ビット) が1Hzで、1ビット上がるごとに周波数が2倍になります。
SW3 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ビット | 23 | 22 | 21 | 20 | 19 | 18 | 17 | 16 |
周波数 | 8,388,608 | 4,194,304 | 2,097,152 | 1,048,576 | 524,288 | 262,144 | 131,072 | 65,536 |
SW2 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
ビット | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 |
周波数 | 32,768 | 16,384 | 8,192 | 4,096 | 2,048 | 1,024 | 512 | 256 |
SW1 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
ビット | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
周波数 | 128 | 64 | 32 | 16 | 8 | 4 | 2 | 1 |
たとえば、1MHzを出力する場合はSW1〜SW3の各スイッチを下記のようにセットします。出力周波数は、端子の状態が「1」になっているところの周波数の合計、すなわち
524288+262144+131072+65536+16384+512+64=1000000Hz=1MHz
となります。
スイッチ | SW3 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
図 | ||||||||
番号 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
切替 | ON | ON | ON | ON | OFF | OFF | OFF | OFF |
状態 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
周波数 | - | - | - | - | 524,288 | 262,144 | 131,072 | 65,536 |
スイッチ | SW2 | |||||||
図 | ||||||||
番号 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
切替 | ON | OFF | ON | ON | ON | ON | OFF | ON |
状態 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
周波数 | - | 16,384 | - | - | - | - | 512 | - |
スイッチ | SW1 | |||||||
図 | ||||||||
番号 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
切替 | ON | OFF | ON | ON | ON | ON | ON | ON |
状態 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
周波数 | - | 64 | - | - | - | - | - | - |
切りのいい周波数を出力するときのスイッチの設定例をいくつか下の表に示します。出力周波数は周波数カウンタで確認できますが、低周波では出力端子にクリスタルイヤホンをつないで音を聞いて確かめることもできます。また高周波では、出力端子に10cmくらいのビニール線をつないでアンテナとし、ラジオをそばに置いてダイヤルを合わせると無変調の信号が受信できます。
24個のスイッチをすべて「1」(OFF) にすると出力周波数は16,777,215Hzになりますが、キットの部品そのままで組み立てた場合は出力に8MHzのローパスフィルタが入るので、8MHz以上の周波数では出力が小さくなります。高い周波数を出したい場合はローパスフィルタ部分の部品定数を適宜変更する必要があります。
スイッチ | SW3 | SW2 | SW1 |
---|---|---|---|
8765 4321 | 8765 4321 | 8765 4321 | |
10Hz | 0000 0000 | 0000 0000 | 0000 1010 |
50Hz | 0000 0000 | 0000 0000 | 0011 0010 |
100Hz | 0000 0000 | 0000 0000 | 0110 0100 |
500Hz | 0000 0000 | 0000 0001 | 1111 0100 |
1kHz | 0000 0000 | 0000 0011 | 1110 1000 |
5kHz | 0000 0000 | 0001 0011 | 1000 1000 |
10kHz | 0000 0000 | 0010 0111 | 0001 0000 |
50kHz | 0000 0000 | 1100 0011 | 0101 0000 |
100kHz | 0000 0001 | 1000 0110 | 1010 0000 |
500kHz | 0000 0111 | 1010 0001 | 0010 0000 |
1MHz | 0000 1111 | 0100 0010 | 0100 0000 |
5MHz | 0100 1100 | 0100 1011 | 0100 0000 |
10MHz | 1001 1000 | 1001 0110 | 1000 0000 |
下の写真は、動作テストのためにDDSの基板をブレッドボードに取り付けたところです。
AVRマイコンを使ってシリアルモードでコントロールする実験もやってみました。別項「BASCOM-AVR 秋月DDSのコントロール(その1)」および「(その2)」をご覧ください。