実験回路で学ぶトランジスタとOPアンプ
「実験回路で学ぶトランジスタとOPアンプ」は、トランジスタ回路とOPアンプICの動作について、ブレッドボードを使って実際に回路を組みながら詳しく解説した本です。以下、目次にそって本書の内容を簡単に紹介します。
実験回路で学ぶトランジスタとOPアンプ
高木誠利 著
2006年9月発行 B5変形判 188ページ
CQ出版社 定価2310円
第1章 抵抗とコンデンサの世界 (p.5)
- 1-1 抵抗 〜抵抗 (じゃま) をする部品だけど邪魔じゃない
- 抵抗の性質。抵抗の消費電力。抵抗を使って電流を制限する。分圧回路で電圧を取り出す。E系列の抵抗値。カラーコードの読み方。
- コラム〜デシベル (dB) とは? 電圧比と電力比。
- 1-2 コンデンサ 〜天邪鬼 (あまのじゃく) な便利屋
- コンデンサの構造と原理。コンデンサは直流を通さない。直流と交流を分離する。電源平滑回路の実験。
- コラム〜減衰を表記するデシベル。
- 1-3 ブレッドボードの使い方
- サンハヤトのブレッドボードSAD-12とワイヤーキットSKS-290の紹介。ブレッドボードで配線するときの注意。電源回路にパスコンを入れる。
- コラム〜デジベルの計算例。絶対値を表す単位dBm, dBμV, dBμ (dBv), dBV (dBs)。
第2章 トランジスタ回路入門 (p.23)
- 2-1 トランジスタって何だ? 〜意外と知らない電子回路の主役
- 3つの電極と電圧のかけ方。トランジスタの種類と回路記号。
- 固定バイアス回路。1石マイクアンプ回路を組んで実験する。2SC1815Y, クリスタルマイク, クリスタルイヤホン。各部品の働き、なぜバイアスが必要か。固定バイアスの欠点。入力を増やすとどうなるか。デジタルICの出力でLEDやリレーをドライブする回路。
- 2-2 電流帰還バイアスを極めよう 〜実用機を作るには絶対必要な知識
- 電流帰還バイアス回路の設計。なぜ安定するのか。hFEは無関係。
- 増幅率について。エミッタにコンデンサが必要。コンデンサの容量と増幅率、周波数帯域の関係。実際の回路設計手順。
- 自己バイアス回路。周波数特性が良好。
- コラム〜テスタの抵抗測定レンジの+−が逆になる理由。
- 2-3 エミッタフォロア回路 〜シンプルかつ実用的な反面やっかいな回路
- エミッタフォロアはコレクタ接地。エミッタフォロア回路の入出力インピーダンスと電圧増幅率。バッファとして使用する。エミッタフォロア付き2石アンプの実験。
- ベース接地回路の実験。入力インピーダンスが低い。電圧利得のみ。
- 2-4 動作直線の話 〜負荷をつなぐと歪みませんか?
- 増幅回路の入出力波形をオシロスコープで観察する。エミッタフォロア回路の動作点の決め方。直流動作と交流動作。動作線のグラフを書いて考える。エミッタ接地やベース接地の場合。
- スピーカーを駆動する回路。トランス負荷のプッシュプル回路。SEPP回路。増幅回路のA級、B級、C級動作。D級、E級というのもある。
- 2-5 発振回路 〜扱いにくいやっかいなしろもの
- 帰還型発振と弛張型発振。TR1石の移相型発振回路。
- 高周波の発振。コルピッツ回路。ハートレー回路。水晶発振回路。VFO (可変周波数発振器)。
- 弛張型発振回路。2石マルチバイブレータ。
- 予期せぬ発振、増幅回路が発振したときの対策。
- コラム〜定番品トランジスタと定番になれなかったトランジスタ。2SC372, 2SC945, 2SC1815。
第3章 OPアンプの世界へようこそ (p.83)
- 3-1 OPアンプって何だ? 〜外付け部品が必須の不思議なIC
- アナログICには専用ICと汎用ICがある。OPアンプは汎用IC。
- 増幅器と負帰還。μA741を使った反転増幅回路の実験。電源±9V。非反転増幅回路の実験。直流増幅器の実験。
- TR4石でOPアンプ回路を組む。2SC1815Yx3, 2SC1015Yx1, 1S1588x2。電源±9V。
- コラム〜DIP8ピン型OPアンプICのピン配置。μA741 (シングル) とNJM4558D (デュアル) の例。
- 3-2 OPアンプのルールを覚えよう
- OPアンプの発振防止対策。位相の回転による発振。実際に発振させてみる。どうすれば発振を防げるか。
- 回路の実装が悪いと発振する。デカップリングコンデンサの使い方。
- 入力インピーダンス=無限大、出力インピーダンス=ゼロとはどういうことか。負荷インピーダンスを変えて出力波形を観察する。
- OPアンプの周波数特性。なぜ負帰還をかける必要があるのか。GB積について。
- OPアンプの種類。オーディオ用のμA641, NJM4558, NJM5534。FET入力のLF071, LF081。スルーレートの大きなLM318。低電圧動作が可能なLM358など。
- コラム〜ピン番号の落とし穴。CANタイプの火星人型ICに注意。高周波用M型コネクタとN型コネクタはネジの直径とピッチが同じだが・・・。
- 3-3 OPアンプの使い方を覚えよう
- 利得調整の方法。入力または出力にボリュームを入れるときの注意点。帰還抵抗をスイッチで切り替える方法。
- 直流増幅で気をつけること。ダイオードの温度依存性を確かめる回路。オフセット電圧の調整法。
- 差動増幅器の実験。差動増幅による雑音の打消し。
- 単電源動作について。2電源用OPアンプ単電源用OPアンプはどこが違うか。NJM4558とLM358の比較。レール・ツー・レール型のNJM2732。NJM4558を単電源で使用するマイクアンプ回路。
- コラム〜レベル・マージンの話。なぜ±15Vもの電圧が必要なのか。平均値とピーク値の差。
- 3-4 フィルタを作ってみよう
- 抵抗とコンデンサで不要な帯域を落とすフィルタ。反転増幅回路の入力にローカットフィルタ、帰還回路にハイカットフィルタを付けたときの周波数特性。非反転増幅回路ではどうなるか。
- RCフィルタと増幅器を組み合わせたアクティブ・フィルタ。共振回路のQ。バタワース特性、ベッセル特性、チェビシェフ特性。
- VCVF型フィルタの設計。多重帰還型フィルタの設計。3.4kHzのローパスフィルタと300Hzのハイパスフィルタを組み合わせて長距離電話の音を再現する実験。
- 位相型発振回路の実験。ダイオードで利得制限する。ウィーン・ブリッジ発振回路。
第4章 実用回路を作る (p.151)
- 4-1 発振器の製作
- きれいなサイン波を作る方法。小型電球で増幅率を制限する。
- 接合型FETで増幅率を制限する発振器の製作。ユニバーサル基板に配線。ケースの加工法。NJM5532D, 2SK30A, 2SC1815, 1S1588x2。電源9V。出力300Hz〜10kHz, 2Vp-p。
- コラム〜ロータリースイッチの接続の調べ方。まず共通端子を見つける。
- 4-2 オペアンプ応用製作
- イコライザ付きミキサの製作。ラインレベルのステレオ入力にモノラルのマイク入力を混合する。反転増幅器による加算器。ステート・バリアブル型ミキサによるイコライザ (トーン・コントロール)。ハイパス・フィルタ、ローパス・フィルタ、バンドパス・フィルタ、ノッチ・フィルタの切り替えができる。NJM4558Dx2, 6回路2接点ロータリースイッチ, 50kVRx3。電源9V。