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中国の6石スーパー "世界BS402A"

 中国の「世界BS402A」という中波用6石スーパーラジオを入手しました。本体の表示も説明書もすべて中国語なので、中国市場向けのラジオだと思います。メーカーは「上海無線電三十五廠」となっています。他の中国ラジオと合わせて3台1000円で購入した中の1台です。

外観

 写真1

 上はこのラジオの正面の写真です。チューニングダイヤルのところには「調諧」と表示されています。縦型の目盛ですが、上へ行くほど周波数が低くなります。ボリューム表示は「音量」で、これは日本と同じですね。イヤホンジャックには「耳器」と書いてありました。外形寸法は幅170mm、高さ100mm、奥行45mmです。説明書には回路図も添付されているので助かります (現物とは少し違っていますが)。

 聞こえ方は普通の6石スーパーと変わらないと思います。夜間には遠距離局も数多く受信できますが、ところどころで小さくビートが出ることがありました。ツマミはサムホイールタイプで、同調用が直径45mm、音量用が直径30mmと大きいので回しやすいです。筐体が大きいため音質も悪くありません。電源は単1電池2個の3Vです。これなら電池は相当長持ちすると思います。

 写真2

回路

 回路図

 上記がこのラジオの回路図です。ラジオの教科書でよく見かける6石スーパーとは違って、中間周波増幅は1段のみ (TR2) で、そのあとトランジスタで検波する (TR3) 回路構成です。また、出力トランジスタ (TR5, TR6) にはPNP型のゲルマニウムトランジスタが使われています。

 バリコンは等容量の2連バリコンで、トリマーは外付けです。OSC側 (VC2) には285pFのコンデンサ (C3) が直列に接続されています。中間周波数は465kHzとありましたが、実測では470kHzくらいでした。図中に示した電圧・電流値は放送を受信していないときのものです。ローカル局を受信して大きな音を出すと、消費電流は30mAくらいに増えます。最大出力は100mWです。

内部

 写真3

 上は裏ブタを外したところです。やはり単1電池は大きいですね。スピーカーの口径は65mmです。右上にイヤホンジャックがあります。バーアンテナL1はコアの断面が12x5mm、長さが100mmと比較的大きなものが使われています。

 2連ポリバリコンも25x25x15mmと大型ですが、上にも書いたようにトリマーコンデンサは付いていません。そのため2個のトリマーが外付けされています。下の写真(左)、基板の左端に写っているのがTC1、バリコンの手前右にあるのがTC2です。その右の茶色いのはC3 (マイカコンデンサ?) です。冒頭でダイヤルの目盛が普通と反対だと書きましたが、中を見るとバリコンの取付け方は普通です。つまり、このバリコンはシャフトを右に回すと容量が増える構造になっているようです。

 写真4

 TR1〜TR4は普通の黒いシリコントランジスタですが、TR5とTR6は金属パッケージのゲルマトランジスタです (上右の写真、2個のトランスの間)。なぜゲルマなのでしょう。たまたま在庫があったからなのか、それとも特別な意図があってそうしたのか・・・・。

(追記 2008年6月30日)
 この件に関して大阪府のドン・キホーテ様よりメールをいただきました。ゲルマトランジスタはシリコントランジスタよりコレクタ飽和電圧が低いので、低電圧動作のラジオでは出力を大きくするためにゲルマトランジスタを使うことがあるそうです。ありがとうございました。
(追記ここまで)

実体配線図

 写真5

 上の写真はプリント基板の表と裏です。下に実体配線図を掲げます。基板の表側 (部品取付け面) から透視した形で書いてあります。3DG201 (TR1〜TR4) の足の接続は左からEBCになります。俗に言う「えびすさん」ですね。ゲルマトランジスタ3AX31の接続はプリント基板に付いた状態でははっきり確認できませんが、どうも日本の同型のトランジスタとはCとEの位置が逆になっているように見えます。

 L2 (OSCコイル) は端子の出方が独特です。IFT1のケースは電源プラスにアースされています。2個の低周波トランスのインピーダンスは不明ですが、コイルの巻数が説明書に書いてありました。それによると、T1の一次側が750回、二次側が450回+450回、T2の一次側が110回+110回、二次側が75回とのことです。トランスのコアはアースしてありません。また、R6だけはプリント板の裏側に取付けてあります。

 実体配線図