ご存知ゲルマラジオです。ゲルマラジオも凝り出すときりがありませんが、今回は当ホームページらしく、チープでイージーなスタイルにしてみました。
コイルはPA-63Rというバーアンテナ、バリコンは270pFの単連ポリバリコンです。検波には1SS108というショットキーダイオードを用いました。これで、当地・石川県金沢市のローカル局(1107,1224,1386kHzの3局)はすべて、混信もなく実用的な音量で受信できました。夜間には、弱いながらも1044kHzのCRI日本語放送(北京放送)が入感したので驚きました。ゲルマラジオはこれまでも何回か作りましたが、ローカル局以外の局が聞こえたのは初めてのことです。
アンテナはいわゆる「電灯線アンテナ」です。これは、アンテナ線をACコンセントの片側につないでアンテナの代わりにする方法です。AC100Vが直接ラジオにかかるのを防ぐため、途中に100pF・500Vのコンデンサを入れます。アンテナ線はACラインのホット側・アース側どちらに接続しても同じように聞こえますが、私のところではホット側につなぐとノイズが出るので、アース側につなぎました。
アース線は、1mほどのビニール線を接続して部屋の床に適当に這わせています。アース線なしでもローカル局の受信には差し支えありませんが、少しボディエフェクトを生じる(バリコンのつまみに手を触れるとチューニングがずれる)ので、短いビニール線をつないでアースの代わりにしました。アース線をもっと長くすると感度が上がりますが、同調周波数が下がって中波帯の上端までカバーできなくなります。
バーアンテナPA-63Rは2ヵ所にタップが出ています。巻線の直流抵抗から推測すると、白はほぼ中間あたり、緑はアース側(黄色側)から15%くらいの位置です。検波ダイオードをアース側に近いタップにつなぐほど混信が少なくなるので、今回は緑につなぎました。混信が減った分、感度が悪くなるのではないかと思いましたが、心配したほどでもありませんでした。ところで、リード線の色のイメージからすると、このバーアンテナは黄色をホット側、黒をアース側にするのが本来の使い方なのだろうと思います。でも実際に両方試してみたところ、どちら向きにしても聞こえかたは同じでした。
検波ダイオードは、上に書いたようにショットキーダイオード1SS108を使いました。よく使われるゲルマニウムダイオード1N60と聞き比べてみると、両者で多少聞こえ方が違います。1N60は低音がよく出ますが、全体的に少し歪っぽい音です。それに対し、1SS108はちょっと硬い感じの音ながら歪もなくすっきりと聞こえました。ただ、1N60に比べて分離が多少悪くなります。そのため、バーアンテナのタップを緑にしました。1N60ならば白タップにつないでも混信は気になりません。ショットキーダイオードによる検波については、人によって評価がまちまちです。品種によって聞こえ方に差があるのかもしれません。今回使用した1SS108に限って言えば、1N60よりも聞きやすいという印象を持ちました。
今回はゲルマニウムトランジスタによる検波も試してみました。実験に使ったのは高周波用の2SA100と低周波用の2SB171です。3本の足のうち2本をダイオードのところへつなぎ、残りの1本は開放としています。結果、ベース・エミッタ間、ベース・コレクタ間、コレクタ・エミッタ間のいずれでも、ちゃんと受信できました。音量や音質はゲルマニウムダイオードで検波したときと似ています。ただし、ベース・コレクタ間で検波すると若干音が小さくなるようです。ダイオードと同じく、極性はどちら向きでもOKでした。
(2004年10月27日)