ブレッドボードラジオその他の実験と製作

LED点滅用IC・M34−2L

 LEDの点滅専用のIC・M34-2Lを使った実験をしました。トランジスタと同じ3本足のICです。内部に発振回路が組み込まれているので、電源とLEDをつなぐだけで点滅します。  実験にあたっては、ICの購入先でもある「エレ工房さくらい」の資料記事を参考にさせていただきました。

1. 基本回路

 第1図

 第1図がM34-2LでLEDを点滅させる基本回路です。左は電源電圧を3Vにして赤のLEDをつないでいます。ICは内部の発振回路のはたらきによって出力端子がHレベル(電源電圧)になったりLレベル(0V)になったりします。出力がLレベルになっている期間だけLEDに電流が流れて点灯します。点滅周期は約0.5秒、つまり1秒間に2回点滅しました。資料によると、点灯時間と消灯時間の比率は1:8とのことで、点灯時間の短い点滅になります。
 右は電源電圧を4.5Vに上げて青色LEDを点滅させる回路です。電源電圧を上げると点滅が少しゆっくりになりました。IC自体は1.35〜5Vの範囲で動作しますが、LEDを点滅させるためには電源電圧をLEDの順方向電圧以上にする必要があります。ただ、今回実験した青色LEDは2.8Vくらいから発光するので、3V電源でもOKでした。

 第2図

 このICは25mA以上の電流を流すことができます。そこで、LEDを3本並列につないでみたのが第2図です。点滅周期は第1図左側の回路と同じです。
 この回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に掲げます。

実体図2 写真2

2. トランジスタでドライブ

 第3図

 第3図左側はトランジスタを介してLEDをドライブする回路です。これだけだとあまり意味がありませんが、右側のようにパワートランジスタを用いると普通の電球を点滅させることができます。
 右側の回路のブレッドボード上の配線図と試作写真は下記の通りです。

実体図3 写真3

 第4図

 第4図はトランジスタのベースに抵抗とコンデンサを入れてみたもので、LEDが尾を引いて点滅するようになります。ただ点滅が早いのでホタルのような風情はなく、「ウニウニウニ」といった感じです(どんな感じ?)。

3. 断続音ブザー

 第5図

 第5図左はLEDの代わりにブザーをつないだ回路です。ブザーは毎秒2回、短時間だけオンになるので、「ブッブッブッ」といった感じで間欠的に鳴ります。
 同図右はスピーカーをつないだものです。ICの出力がHからLに変わる瞬間とLからHに戻る瞬間の2回、スピーカーからクリック音が出ます。「トト、トト、トト」という感じです。

4. チャージポンプで昇圧

 第6図

 第6図は「エレ工房さくらい」で紹介されていた回路で、チャージポンプの原理を利用して1.5V電源で赤色LEDを点滅させる回路です。点滅周期は3V電源のときより少し早くなりました。

 第7図

 第7図もさくらいさんのサイトに出ていた回路です。チャージポンプを2段重ねにして高い電圧を発生させ、1.5Vで青色LEDを点滅させています。青色LEDの代わりに赤または緑のLEDを2個直列に入れてもちゃんと点滅しました。
 ブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。

実体図7 写真7

5. 点滅周期の測定

 このICは電源電圧によって点滅周期が変化するようです。そこで、下記の回路を組んであらためて測定してみました。ICの出力端子と電源のマイナスの間にアナログ電圧計をつなぐと、点滅周期に合わせて電圧計の針がピクピク動きます。これを見ながらストップウオッチで時間を計りました。
 ついでにICの消費電流も測定しました。VSS端子から流れ出す電流は点滅周期に合わせて増減しますが、VDD端子から流れ込む電流はごくわずかです。
 測定結果は下右の表の通りです。

第8図
電源電圧による違い
電源電圧点滅周期消費電流
1.5V0.42秒0.01mA
3V0.56秒0.06mA
4.5V0.61秒0.17mA
(以下、2006年4月24日に追記)

6. LED2個の交互点滅

 第9図

 第9図左はICの出力にNPNトランジスタをつないだものです。こうするとICの出力がHレベルのときだけトランジスタが導通するので、LEDはこれまでと反対に消灯時間の短い点滅になります。PNPトランジスタのときと違って、R1という抵抗が必要です。
 第9図右はR1の代わりにここにもLEDをつないで、2個のLEDが交互点滅するようにした回路です。トランジスタのベース抵抗R2が小さいと、ICの出力端子がHになってもLED1が完全に消灯しません。逆にR2が大きすぎるとLED2が暗くなります。

(2006年4月24日追記分ここまで)

(以下、2006年5月14日に追記)

7. M34-8Lを使った実験

 上記の実験について「エレ工房さくらい」さんに報告したところ、"ごほうび"にM34-8LというICを1個頂戴しました。このICもM34シリーズの中のひとつで、点滅周期が1/8秒、デューティーが1:1のものです。さっそく使ってみました。

 第10図

 第10図左がM34-8LによるLED点滅回路です。M34-2Lのときと同じですが、点滅周期が1/8秒なのでLEDはせわしなく点滅します。同図右はLED2個の交互点滅回路です。LEDの電流制限用の抵抗は2個分共通にしました。

 第11図

 第11図はバイナリ・カウンタICの74HC4040を用いて点滅周期をゆっくりにする回路です。M34-8Lの出力をカウンタICのクロック入力に入れると、Q1では1/2の周波数になって出てきます。同様に、Q2では1/4、Q3では1/8、Q4では1/16になります。つまり、点滅周期はそれぞれ2倍(1/4秒)、4倍(1/2秒)、8倍(1秒)、16倍(2秒)となります。Q1〜Q4にLEDをつなぐと、カウンタICの動作の様子がよくわかります。LED3(Q3)の点滅周期をストップウオッチで実測したところ、約1.1秒でした。
 この回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。

実体図11 写真11

 第12図

 第12図はカウンタICのQ3〜Q5出力にフルカラーLED(3色LED)をつないでみたものです。1秒ごとにLEDの色が変化します。電源電圧は5Vにしました。

 (2006年4月17日 初稿)
 (2006年4月24日 第6章を追加)
 (2006年5月14日 第7章を追加)