ブレッドボードラジオ電源回路

平滑コンデンサのはたらき

 半波整流回路とブリッジ整流回路について、平滑コンデンサの容量と出力電圧、リップル電圧の関係について調べました。リップル電圧は、出力側に0.1μFのコンデンサを介してAC電圧計をつないで測定しました。こういう方法で得られた測定値は本当のリップル電圧とは言えないかもしれませんが、大小の比較の目安として見てください。

1. 半波整流回路での実験

 半波整流回路でフィルターコンデンサ(C1)の容量を変えたときの出力電圧およびリップル電圧の変化は下記のようになりました。当たり前と言えば当たり前ですが、出力電流が少ないほど、またコンデンサの容量が大きいほど、リップル電圧は小さくなります。
 出力電圧に関しては、コンデンサの容量が小さいと少し低くなりますが、ある程度以上の容量があればそれほど変わりません。

実験回路1

Io
DCmA
C1=100μFC1=220μF C1=470μFC1=1000μF
Vo
DCV
Vr
ACV
Vo
DCV
Vr
ACV
Vo
DCV
Vr
ACV
Vo
DCV
Vr
ACV
2521.51.0621.90.52 21.90.2422.00.11
5018.92.0419.71.01 19.80.4619.90.22
7516.52.9617.71.48 18.00.6718.00.32
10014.13.7715.91.92 16.40.8716.40.41

2. ブリッジ整流回路での実験

 ブリッジ整流回路での実験結果を下に示します。リップル電圧は半波整流回路の半分以下になりました。

実験回路2

Io
DCmA
C1=100μFC1=220μF C1=470μFC1=1000μF
Vo
DCV
Vr
ACV
Vo
DCV
Vr
ACV
Vo
DCV
Vr
ACV
Vo
DCV
Vr
ACV
2522.60.4722.60.23 22.60.1022.80.05
5021.30.8921.30.43 21.30.2021.50.09
10018.81.6318.90.80 19.20.3619.30.17
15016.82.2417.11.14 17.40.5117.50.24

3. 平滑コンデンサの最適値

 上記の実験で、平滑コンデンサの容量を大きくするとリップルが減ることがわかりました。ま、わざわざ実験しなくても最初からわかっていたようなもんですが。

 では、具体的にどれくらいの大きさのコンデンサを使えばいいのでしょうか。上の実験回路でリップル電圧を測定するAC電圧計の両端にクリスタルイヤホンを接続すると、リップル電圧が0.1Vくらいでも「ブーン」というハム音がはっきり聞こえます。ラジオにつないだとき、このハム音がそのまま出てくるのだとすればとても実用になりません。それならコンデンサをもっと大きくすればよいのかと言うと、むやみに大きな容量のものはダイオードを傷める原因になるのでよくないとのことです。

 「トランジスタ技術」という雑誌に、平滑コンデンサの最適値を求める簡単な計算式が載っていました。それは、

 nωCR=40〜60

というものです。nは半波整流のとき1、ブリッジ整流のとき2にします。ωは2πf (fはAC電源周波数)で、50Hzなら314、60Hzなら377になります。Cはコンデンサの容量(F)、Rは負荷抵抗(Ω)です。
 この式をさらに簡単にするため、f=55Hz、右辺を50として書き直してみると、

 半波整流のとき C(μF)=145⁄R(kΩ)
 ブリッジ整流のとき C(μF)=73⁄R(kΩ)

となります。

 手元のラジオ雑誌の製作例をいくつか見ましたが、確かにこれくらいの容量のコンデンサが使われています。今回の例に当てはめてみると、半波整流で15V,100mA(R=0.15kΩ)ならC=970μF、ブリッジ整流で17V,150mA(R=0.11kΩ)ならC=660μFということになります。どちらのケースでもリップル電圧は0.5V前後です。これでは、ラジオなどを直接つなぐわけにはいかないでしょう。他の部品を保護するためコンデンサの容量をこれより増やせないとなれば、多くの製作例がそうしているように、整流回路の後ろに何らかのリップルフィルター、あるいは定電圧回路を設ける必要があると思います。

 (2005年6月12日)

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