弛張(しちょう)発振回路についていろいろ実験してみました。ここでは「FCZ研究所」のホームページなどで紹介されているトランジスタ2石式の回路について研究しましたが、PUTやネオン管の発振回路、トランジスタのC-E逆接続なんかもすべて弛張発振なんだそうです。
第1図1は、FCZ研究所のサイトで「LEDピカッ、ピカッ」という名前で紹介されている回路です。部品の定数は少し変えてあります。名前の通り、LEDが約0.6秒に1回ピカッと光ります。点滅の周期はコンデンサCおよび抵抗Rの大きさに比例します。各部の電圧や電流を調べようとしましたが、テスタをあてると正常に動作しなくなってしまうので測定できませんでした。
ところで、Cには積層セラミックコンデンサを用いましたが、これを電解コンデンサにする場合、その極性をどうするか悩みます。FCZの回路ではLEDにつながるほうがプラスになっていましたが、他のサイトでは逆向きになっているのもありました。この辺は動作原理をちゃんと理解していないことには答えが出ません。
第1図2はトランジスタの極性を反対にした回路です。1とまったく同じように動作します。
第1図1の回路のブレッドボード上の配線と写真は下記の通りです。
第2図1は、LEDの代わりにムギ球(3V,30mA)を点滅させる回路です。「エレ工房さくらい」のキットの説明書を参考にして実験しました。CRの定数は第1図と同じですが、点滅周期は約1.6秒に1回と、だいぶ長くなりました。Rをこれ以上小さくすると連続点灯になってしまうので、点滅周期を短くするためにはCを小さくする必要があります。
1番の回路ではムギ球が光るのは一瞬ですが、2番のように10Ωの抵抗を入れると、点灯時間を少し長くすることができます。こちらのほうがさくらいキットのオリジナルに近いです。
第3図は発振周波数を上げて8Ωのスピーカーを鳴らす回路です。FCZの製作記事を見て作りました。図の定数で、約650Hzで発振します。
この回路は電源電圧を1.5Vに下げても動作します。1.5Vにすると発振周波数は460Hzに下がり、音量はやや小さくなります。
この回路のブレッドボード上の配線と写真は下記の通りです。
第4図1は圧電スピーカーを鳴らす回路です。8Ωのスピーカーを使ったときより音が高くなるので、コンデンサを小さくしました。発振周波数は、電源電圧が3Vのとき610Hz、1.5Vのとき560Hzでした。
第4図2は圧電スピーカー自体をコンデンサの代わりにする回路です。発振周波数は、電源電圧が3Vのとき860Hz、1.5Vのとき630Hzになりました。
第5図は、弛張発振回路とCdSを組み合わせたものです。CdSのつなぎ方は何通りかあるようですが、とりあえず一番簡単なものということで第5図1のようにつないでみました。
明るい所ではLEDは消灯していますが、暗くなると(CdSの上に手をかざすと)LEDが点滅を始めます。薄暗いところではゆっくり点滅、十分暗いと早く点滅します。
第5図2はFCZのホームページに出ていたもので、明るさによって音程が変化します。明るいと高い音、暗くなると低い音になります。
第6図はFCZ研究所のホームページに出ていた「電子サイレン」です。昔(今もあるのかな?)、大きな工場などで始業時や昼休みに鳴っていたサイレンに似た音を出す回路です。
S1(押しボタンスイッチ)を押すと、低い音から始まってだんだん高い音になります。図の定数では、約10秒で600Hzまで上がって、あとは一定の高さで鳴り続けます。スイッチを放すと、だんだん音が低くなって止まります。
ブレッドボード上の配線と写真を下に示します。なお、S1はジャンパー線の断続で代用しています。
(2005年7月24日)