トランジスタで検波してクリスタルイヤホンを鳴らす1石ラジオを各種実験しました。
第1図は、単巻線のバーアンテナPA-63Rを使用し、抵抗負荷としたものです。アンテナ端子に2mのビニール線をつなぐと、ローカル局は十分な音量で受信できます。日によっては、夜間に遠距離局も数局入感しました。もっと短いアンテナでも受信音量はそれほど低下しませんが、アンテナの長さによっては特定の周波数だけ感度が悪くなることがあります。
イヤホンは、回路図のようにコレクタ負荷抵抗(R2)の両端につないでも、コレクタとアース間につないでも同じように聞こえます。
C2は発振止めのコンデンサです。第1図の回路定数なら特に必要ありませんが、抵抗値をいろいろ変えて実験しているとたまに発振することがあったので、一応付けたままにしておきました。
ボード上の結線図と完成写真は下記の通りです。
第2図はコレクタの負荷をトランス(ST-30)にした回路です。抵抗負荷のときよりも若干音が大きく、しかも低音がよく出て柔らかい音質になります。ST-30のつなぎ方としては、上のように緑をトランジスタのコレクタにつなぐやり方と、赤(中間タップ)をコレクタにつなぐやり方のふた通りあります。今回の回路で両者を比較してみたところ、緑につないだ方が大きな音で鳴りました。
私が持っている本には、コレクタ電流がおおむね1mA以下のときは緑に、それ以上のときは赤につなぐと良いと書いてありました。
ボード上の結線図と完成写真は下記の通りです。
第3図は、二次巻線を持ったバーアンテナSL-55GTを使用した回路です。聞こえかたは前の2つとだいたい同じです。R1とR2の値は第1図と同じでもOKなんですが、一次コイルと二次コイルの巻数比が大きい(約10:1)ので、R1を小さくしてコレクタ電流を少し増やしてみました。
私が持っている本(上記と同じ)には、トランジスタで検波する場合はコレクタ電流を0.1mA前後にするようにと書いてありました。この回路では0.3mA流していますが、特に問題はないように思います。私の実験では、コレクタ電流を1mA近くまで増やしてもちゃんと検波できました。トランジスタの品種によって違うのかもしれません。
ボード上の結線図と完成写真は下記の通りです。
第4図はトランジスタのバイアス抵抗のつなぎ方を示しています。本や雑誌に載っている回路図を見ると、単巻線のバーアンテナの場合は1番の回路、二次巻線のあるバーアンテナの場合は2番の回路のようになっているのが普通です。3番や4番でも良さそうな気がするのですが、このような例はほとんど見うけられません。なぜでしょう。
今回のトランジスタ検波1石ラジオに限って言えば、3番や4番のようにつないでもちゃんと聞こえました。ただ3番の回路では、コンデンサを0.01μFにするとACハムのようなノイズが出るので、容量を1μFに増やす必要がありました。
第5図は、2SK439EというFETで検波する1石ラジオです。トランジスタ検波と同様によく聞こえます。このFETはデプレッション型で、3極真空管とよく似た動作をします。そのため、回路も3極管によるプレート検波とそっくりです。
ボード上の結線図と完成写真を下に示します。
(2004年11月14日)