UJT・ユニジャンクショントランジスタを用いた低周波発振回路の実験をしました。UJTは別項でレポートしたPUTの親戚のような部品で、弛張発振回路を簡単に作ることができます。実験には2SH20を使用しました。金属パッケージのトランジスタと同じ形をした部品です。
第1図はUJTを使用した音出し回路のいろいろです。1番はごく低い周波数の発振回路で、「電子メトロノーム」などのタイトルで古いラジオ雑誌によく登場します。回路図の定数で約0.8秒に1回、スピーカーから「ポツ」という音が出ます。発振周波数はR1およびC1の値に反比例します。つまり、R1またはC1の値を半分にすると、周波数は2倍、「ポツ」の周期は半分になります。電子メトロノームとして実用にするときは、R1をボリュームに換えて周波数を連続可変にします。電源電圧は6V程度は必要と思います。3Vでは音が小さいです。
2番はC1を小さくして可聴周波数を発振するようにしたものです。図の定数で発振周波数は620Hzになりました。音が小さいときはR1を小さくしてC1を大きくすればOKです。ただしその分消費電流も増えます。R2の値も周波数に影響しますが(R2を小さくすると周波数が少し低くなる)、R1やC1にくらべると変化は小さいです。3番は圧電スピーカーを鳴らす回路です。この回路では圧電スピーカーが周波数を決めるコンデンサも兼ねています。発振周波数は約1500Hzです。
下に、1番の回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を掲げます。
第2図はUJTを用いたLED点滅回路です。LEDが0.8秒に1回ピカッと光ります。点滅周期は第1図の1番とほぼ同じになりました。LEDと並列に1kΩの抵抗が入っていますが、LEDだけにすると点灯しっぱなしになります。LEDは白や青のものでも大丈夫です。赤色LEDと青色LEDを並列に入れると2個同時に点滅します。ただし少し暗くなり、また点滅周期が若干ゆっくりになりました。2番はLEDの点滅に合わせてスピーカーから音が出る回路です。この回路でLEDを取ってスピーカーだけにすると、周波数が3倍くらいに上がりました。
第2図の右端に2SH20を下から見たときの端子の配列図を出しましたが、「初歩のラジオ」と「ラジオの製作」ではなぜかB1とB2の表記が逆になっています。接続自体は同じです。上図は「初歩のラジオ」のものです。
(追記 2007年3月27日)
その後、「エレ工房さくらい」さんと佐賀県のIさんからデータシートのご送付をいただき、ピン接続が上図の通りで正しいことが判明しました。お二方どうもありがとうございました。
(追記ここまで)
第2図2番の回路のブレッドボード上の配線図と試作写真は下記の通りです。
UJTを使った工作は1970年代のラジオ雑誌にはよく登場するのですが、その後ぱったり途絶えてしまいます。他の部品に取って代わられ、生産されなくなったのでしょう。通販の広告でもまったく見かけませんが、今回は「エレ工房さくらい」さんに無理を言って探していただきました。