A型,B型,C型の3種類のボリューム(可変抵抗器)について、回転角度と抵抗値の関係を調べました。
今回の実験に使用したボリュームは上の写真の東京コスモスRV24YNという品番のものです。直径は24mm、回転範囲は約300度、抵抗値はいずれも10kΩです。ボリュームには上右の写真のように3本の端子がありますが、10kΩのボリュームの場合、シャフトを左に回しきると1〜2間が0Ω、2〜3間が10kΩになります。逆に右に回しきると、1〜2間が10kΩ、2〜3間が0Ωになります。
今回の実験では、端子1〜2間にテスタのオーム計をつなぎ、シャフトを左に回しきった状態から全回転範囲の10%(30度)ずつ回していったとき、抵抗値がどのように変化するかを調べました。
実験結果を下の表とグラフで示します。抵抗値のカッコ内の数値は、全抵抗値に対する百分率です。
回転角度 % | 抵抗値Ω (カッコ内は%) | ||
A10kΩ | B10kΩ | C10kΩ | |
0 | 0.5 (0.0) | 0.6 (0.0) | 0.3 (0.0) |
10 | 177 (1.8) | 617 (6.2) | 837 (8.6) |
20 | 470 (4.7) | 1.72k (17.2) | 3.39k (34.6) |
30 | 756 (7.6) | 2.82k (28.3) | 6.06k (62.0) |
40 | 1.06k (10.6) | 3.94k (39.5) | 7.63k (78.0) |
50 | 1.86k (18.7) | 5.06k (50.7) | 8.29k (84.8) |
60 | 2.57k (25.9) | 6.12k (61.4) | 8.92k (91.2) |
70 | 4.51k (45.4) | 7.22k (72.4) | 9.17k (93.4) |
80 | 7.00k (70.4) | 8.32k (83.5) | 9.40k (96.1) |
90 | 9.42k (94.7) | 9.46k (94.9) | 9.65k (98.7) |
100 | 9.95k (100) | 9.97k (100) | 9.78k (100) |
A型は抵抗値の小さいところで変化がゆっくりで、C型は逆に抵抗値の大きいところで変化がゆっくりになります。B型は回転角度にほぼ比例して抵抗値が変化します。いずれのボリュームも回転範囲の両端では抵抗値があまり変化しません。
3種類のボリュームのうち、C型は手に入りにくく、あっても高価です。そこで、値段の安いB型と固定抵抗を並列につないでC型ボリュームの代用にするというアイディアが昔から知られています。たとえば、下の図のように20kΩのB型ボリュームと20kΩの固定抵抗を並列にすると10kΩC型ボリュームの代わりになるというわけです。本当にそうなるのか試してみました。
今回は20kΩB型のボリュームが用意できなかったので、上の実験で使った10kΩB型ボリュームと10kΩの固定抵抗を並列にしたもので実験しました。本物のC型ボリュームとの比較を下の表に示します。代用品のC型ボリュームは合成抵抗が5kΩですので、カッコ内の%の数字で比較してください。なお、「⁄⁄」は並列接続の意味です。
抵抗値Ω (カッコ内は%) | ||
回転角度 % |
B10kΩVR ⁄⁄固定10kΩ |
本物の C10kΩVR |
0 | 0.3 (0.0) | 0.3 (0.0) |
10 | 657 (13.2) | 837 (8.6) |
20 | 1.60k (32.2) | 3.39k (34.6) |
30 | 2.46k (49.4) | 6.06k (62.0) |
40 | 3.21k (64.5) | 7.63k (78.0) |
50 | 3.82k (76.8) | 8.29k (84.8) |
60 | 4.32k (86.7) | 8.92k (91.2) |
70 | 4.68k (94.1) | 9.17k (93.4) |
80 | 4.95k (99.5) | 9.40k (96.1) |
90 | 5.09k (102) | 9.65k (98.7) |
100 | 4.98k (100) | 9.78k (100) |
結果は、本物のC型よりはややB型に近いものの、代用品として十分使えそうです。ただ今回の実験では、回転角度90%のところで抵抗値が最大になり、100パーセントでは逆に少し小さくなっています。どうしてこうなるのでしょう。測定のしかたがまずいのでしょうか。念のため、B10kΩボリュームの抵抗値変化をもとにした「仮想B20kΩボリューム」と20kΩ固定抵抗を並列にした場合の合成抵抗の計算値を下に掲げます。グラフもこの計算結果に基づくものです。
抵抗値Ω (カッコ内は%) | |||
回転角度 % |
仮想 B20kΩVR | 仮想B20kΩVR ⁄⁄固定20kΩ |
本物の C10kΩVR |
0 | 0 (0) | 0 (0) | 0.3 (0.0) |
10 | 1.2k (6) | 1.16k (11.6) | 837 (8.6) |
20 | 3.4k (17) | 3.11k (31.1) | 3.39k (34.6) |
30 | 5.6k (28) | 4.82k (48.2) | 6.06k (62.0) |
40 | 7.8k (39) | 6.23k (62.3) | 7.63k (78.0) |
50 | 10k (50) | 7.50k (75.0) | 8.29k (84.8) |
60 | 12.2k (61) | 8.48k (84.8) | 8.92k (91.2) |
70 | 14.4k (72) | 9.22k (92.2) | 9.17k (93.4) |
80 | 16.6k (83) | 9.71k (97.1) | 9.40k (96.1) |
90 | 18.8k (94) | 9.96k (99.6) | 9.65k (98.7) |
100 | 20k (100) | 10k (100) | 9.78k (100) |
(2006年11月1日)