ブレッドボードラジオメーカー品ラジオ

丸七100円AMラジオ

 ダイソーとは違う系統の100円ショップで売られているAMラジオを入手したので、中味がどうなっているか調べてみました。このラジオも中国製で、発売元は新潟県の「丸七 (まるしち)」という会社です。ダイソーの100円ラジオがトランジスタ3石のスーパーヘテロダインなのに対し、こちらは3端子ラジオICとTR2石アンプからなるストレートラジオです。性能的には見劣りがしますが、それでも100円は安いですね。お店によっては88円で買えるところもあると聞きました。

外観と受信テスト

 写真1

 上にこのラジオの外観の写真を掲げます。中波専用のイヤホンラジオです。電源は単4電池を1本使用します。イヤホンと乾電池は別売りです。チューニングと音量ボリュームは平型 (サムホイール) ツマミですが、ちゃんとダイヤル指針が付いています。右端の写真のようにバリコンの軸に赤いプラスチックのロッドが固定されていて、つまみを回すとこのロッドがふたの内側のレールに沿って上下する仕組みです。外形寸法は縦80mm、横43mm、厚さ17mmです。裏側にはベルトなどに引っ掛けるためのフックが付いています。

 ダイソー100円ラジオ用の32Ωイヤホンを挿してしばらく聞いてみたところ、感度や音量は十分で音質も良好でした。夜間には20局以上受信できます。ただ難点は選択度が悪いことですね。ストレートラジオなので仕方ないところですが、ローカル局どうし混信してしまいます。当地 (石川県金沢市) は5kW局が2局と10kW局が1局だけなので、ラジオの向き (バーアンテナの向き) を調節すればなんとかなりますが、局数の多い大都市ではかなり苦労するのではないでしょうか。なお、イヤホンは8Ωのものでも大丈夫でした。

回路と部品

 第1図

 上記はプリント基板の配線をたどって調べたこのラジオの回路図です。部品番号の付け方が変ですが、プリント基板に印刷されている番号に合わせました。初めに書いたように、3端子のラジオIC・TA7642 (Q1) と2石直結低周波アンプからなるストレートラジオです。TA7642はLMF501Tの同等品だと思います。トランジスタはダイソー100円ラジオと同じS9014が使われています。このトランジスタは韓国製だそうです。出力回路もダイソーと同じで、コレクタと電源プラスの間にマグネチックイヤホンをつなぐようになっています。クリスタルイヤホンは使えません。

 別項「LMF501Tの研究」で3端子ラジオICの回路をいろいろ実験しましたが、このラジオの回路は「基本回路B」にあたります。ただ、カップリングコンデンサがアース側ではなく電源プラス側に接続されているところが違っています。またAGC用の抵抗 (R3) は通常より大きめの2.7kΩが使われています。発振を防ぐためでしょうか。消費電流は、32Ωのイヤホンをつないだ状態で約12mAでしたが、電流計をつないだままにしておくとじわじわ増えていきます。ほとんどは出力トランジスタQ3に流れています。

写真3 図3

 バーアンテナは直径5mm、長さ25mmのコアに極細のポリウレタン線を巻いたタップなしの単巻コイルです。途中にタップを出してくれればもっと選択度が良くなったと思うのですが・・・。バリコンは上の写真のように、17mm角で厚さ4.5mmという平べったいものです。側面から出ている2つのラグ端子が共通のGND (ローター側) です。この2つは大きさが違うので、これで端子の区別ができます。

 VC1, VC2と記したピンがステーター側で、デジタルテスタのCAPレンジで最大容量を測定してみたところ、VC1は135pF、VC2は25pFでした (最小容量は約4pF)。スーパー用の2連バリコンでしょうか。でもトリマーコンデンサは付いていません。右側の2本の端子はどこにもつながっていないようです。回路ではVC1とVC2が並列になっていますので、合わせて160pFです。この測定値が正しいとすれば、コイルのインダクタンスは約560μHということになります。

実体配線図

 下にプリント基板の写真と基板上の配線図を掲げます。基板のパターンは部品面から透視した形で書きました。TA7642はLMF501Tとは足の接続が異なっています。またS9014も2SC1815などとは接続が違います。

 写真2

 第2図