ブレッドボードラジオその他の実験と製作

2端子2色LEDの実験

 岩手県八幡平市の「イーエレ」というパーツショップで、2端子の2色発光LEDというのを見つけました。面白そうなのでひとつ買っていろいろ実験してみました。

外観と端子の接続

 下に、このLEDの写真と端子の接続図を示します。写真左側が購入時の状態、右はブレッドボード用に整形したものです。

写真1 第1図

 このLEDの型番や定格は不明です。わかっているのは、電圧をかける向きによって赤く光ったり緑に光ったりするということだけです。おそらく、内部は赤色LEDと緑色LEDが逆向きに並列接続されているのだと思います。上に書いた端子の接続は下記でレポートしている実験の結果判明したもので、足の長い方が赤LEDのアノード、足の短い方が緑LEDのアノードでした。ここでは前者を「RA」、後者を「GA」と表記することにします。

直流での点灯実験

第2図

 まずDC3Vを加えて光らせてみました。電流制限抵抗は100Ωにしました。まず、上図1番のように赤アノード (RA) をプラスにすると、赤く光ります (と言うか、赤く光ったときプラスにつながっている方をRAとよぶことにしたわけですけど)。LEDを逆向きに接続すると緑に光ります (上図2番)。順方向電圧は緑が少し高いです。

交流での点灯実験

第3図

 LEDをどちら向きにつないでもOKということはAC電圧を加えても大丈夫だろうと思ってやってみました。第2図1番はAC6.3Vでの点灯実験です。ヒータートランスの6.3V端子から470Ωの抵抗を介してLEDを接続しました。LEDの向きはどちらでも同じです。負荷電流が少ないのでトランスの端子電圧が高くなっています。

 AC点灯の場合、LEDは赤と緑が高速で交互に点灯するため、真上から見ると2色が混ざって黄色っぽく見えます。ただ、下のほうはRA側が緑、GA側が赤く光るので、見る角度を変えるとオレンジに見えたり黄緑色に見えたりして妙な色合いです。でもこれなら真空管ラジオのパイロットランプとして使えそうですね。

 第2図2番はAC100Vでの点灯実験です。まず抵抗で電流制限する回路を実験してみました。10kΩと22kΩが並列になっていますが、合成抵抗は実測で6.9kΩです。これでちょうどいいくらいの明るさになりました。抵抗はかなり熱くなります。ここで無駄な電力を消費するので不経済な回路です。

 第2図3番はコンデンサで電流を制限する回路です。容量の計算が面倒くさいので、明るさを見ながらいろいろなコンデンサをつなぎ替えてみました。結果0.47μFあたりが適当と思われます。コンデンサは発熱しないし電力消費もほとんどありませんが、こういうコンデンサ (フィルム系) は形が大きく高価です。なお、図中に記した電圧・電流値は安いデジタルテスタで測定したもので、あまり正確ではないかもしれません。

赤と緑の交互点滅

 赤と緑の交互点滅回路を各種実験しました。

1. TR2石の非安定マルチバイブレータ

 まず、トランジスタ2石の非安定マルチバイブレータにつないで赤と緑の交互点滅ができないか試してみました。

第4図

 回路図は上記の通りです。TR1のコレクタに入っているゲルマダイオードは光り方を調節するためのものです。これがないと、赤は正常に点灯するのですが、緑は最初パッと光ってすぐに暗くなってしまいました。赤と緑の順方向電圧の違いが原因ではないかと思います。RA (赤アノード) がつながる側のコレクタにダイオードを入れるとだいぶよくなりました。また、電源電圧が3Vでは点灯しなかったので5Vに上げました。点滅周期は約1.2秒です。

 私のレベルではこんな方法しか思いつきませんが、多分もっと賢いやり方があると思います。ブレッドボード上の配線図と試作写真を下に掲げます。

実体図 写真

2. インバータICによる交互点滅

 次に、インバータIC・74HC04Pで非安定マルチバイブレータを組んで交互点滅させてみました。ICの8番と10番の出力は交互に反転するので、ここにLEDをつなげば赤と緑の交互点滅になります。LEDの向きはどちらでもかまいません。これは上の回路よりも動作が確実です。周期は約0.9秒でした。回路図と写真を下に示します。

第5図

実体図5 写真5

3. AVRマイコンによる交互点滅

 AVRマイコンを使った交互点滅もやってみました。これなら2つのポート出力を交互にオンオフすればいいだけなので簡単です。回路は下の第6図の通りです。マイコンICはATtiny26Lを用い、PA0〜PA1間にLEDと電流制限抵抗をつなぎました。電源はAVRライター (パソコンのUSB端子) からDC5Vを供給しています。

第6図

 BASCOM-AVRによるプログラムを下に示します。PA0とPA1が交互に「0」になったり「1」になったりします。上の回路ではRA (赤アノード) をPA0側につないだので、「PA0=1, PA1=0」のときLEDは赤く光り、「PA0=0, PA1=1」のときは緑に光ります。点滅周期は2秒にしました。つまり1秒ごとに赤になったり緑になったりします。

 プログラムファイル 22led.bas

1 $regfile = "at26def.dat" ATtiny26Lを使用する。
2 $crystal = 1000000 クロック周波数を1MHzに設定。
3 Config Porta = Output ポートAを出力に設定。
4
5 Do Doループここから。
6  Porta.0 = 1 PA0を「1」にする。
7  Porta.1 = 0 PA1を「0」にする。LEDは赤く光る。
8  Wait 1 1秒間そのまま。
9  Porta.0 = 0 PA0を「0」にする。
10  Porta.1 = 1 PA1を「1」にする。LEDは緑に光る。
11  Wait 1 1秒間そのまま。
12 Loop Doループここまで。
13
14 End 終わり。

 AVRマイコンに関する基本的なことについては別項「AVRマイコン入門」を見てください。実体配線図と試作写真を下に掲げます。

実体図6 写真6