(2006年6月28日)
LM555を使ったタイマーについて、トリガ回路のバリエーションをいろいろ実験しました。
前項で紹介したタイマー回路のようにスタートスイッチ(トリガスイッチ)が押しボタンスイッチの場合、チョンと押してすぐ放さなければなりません。もし、上図の1番のように、タイマー時間を越えて長押しすると、CRによって設定されたタイマー時間を過ぎてもLEDは消灯せず、スタートスイッチをオフにするまで点灯し続けます。
また、2番のように、スタート時はチョイ押しでも(a)、タイマー時間終了の瞬間にスタートスイッチが押されていると(c)、同じ結果になります。一方、タイマー時間終了前ならばスイッチが何回押されても(b)、ICの動作には無関係です。
図右は「Design Electronics」というサイトに出ていたもので、トグルスイッチを使ってタイマーをスタートさせる回路です。S1を閉じると2番端子がHから一瞬LになってすぐにHに戻ります。これによってタイマーがスタートします。S1は閉じたままにしておいてもタイマー動作には影響しません。タイマー時間終了後、S1をいったん開いて再び閉じるとタイマーが再スタートします。
タイマー時間が0.1秒とか極端に短い場合、押しボタンスイッチだとボタンを放す前にタイマー時間が終わってしまって、ちゃんと動作しているのかよくわかりませんが、この回路にすれば0.1秒間のLED点灯をしっかり確認することができます。
第2図は、暗くなるとLEDが一定時間点灯する回路です。明るい状態から一瞬暗くなってすぐまた明るくなっても、また暗くなったままでも、どちらでもタイマーは同じように動作します。タイマー時間が終わってLEDが消えた後、もう一度「明→暗」の変化がおきるとタイマーは再スタートします。
この回路は、部屋の明かりを消すと自動的にベッドライトが点灯し、布団に入った頃に消える、というようなセットに応用できそうです。
第3図はスタートスイッチの代わりにコンデンサがつながっています。こうすると電源スイッチを入れると同時にタイマーをスタートさせることができます。この回路は「パワーオントリガ」とか「オートトリガ」とかよばれています。
この回路はタイマー時間中はLEDが点灯し、タイマー時間が終了するとブザーが鳴るようになっています。いわゆる「キッチンタイマー」として実用になる回路です(数個のR2をスイッチで切り換え、時間を合わせてから電源をオンにする)。押しボタンスイッチによるトリガでは、タイマースタート前のスタンバイ時にも「ピー」と鳴ってしまって面白くありません。
タイマー時間終了後もう一度タイマーを動作させるときは電源スイッチを一度切って入れ直しますが、右のように押しボタンスイッチを付けておけば、このスイッチをチョイ押しすることで再スタートします。
第4図はLM555を一種の分周器(周波数分割器)として用いる回路です。LED点滅用IC・M34-2L(IC1)を使って連続パルスを発生させ、これをLM555の2番端子(トリガ)に入力します。IC1の出力につながっているLED1は約2Hz(0.5秒周期)で点滅します。LED2はLED1にシンクロして点滅しますが、その点滅周期はボリュームの位置によって変化します。M34-2Lの最大電圧が5Vなので(だったと思う)、電源電圧は5Vにしました。
ボリュームの抵抗値が最小のときはLED1とLED2が同時に点滅します。ボリュームの抵抗値を高くしていくと、LED1が2回点滅する毎にLED2が1回点滅、LED1が3回点滅でLED2が1回点滅、・・・、というふうに、LED2の点滅周期がだんだん長くなります。そのようすを模式的に表わしたのが図右のタイミングチャートです。
最初、IC1の出力とIC2の2番を直結したのですが、LED2の点滅周期が短いところでうまく動作しなかったので、C1とR2を追加しました。
この回路のブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。後で気が付いたんですが、試作機ではVRとR3の順番が回路図と逆でした(動作は同じ)。
第5図は2個のタイマーを連結したものです。IC1のタイマー時間が終了すると自動的にIC2のタイマーがスタートします。つまり、電源スイッチを入れるとLED1が約2秒間点灯、LED1が消灯すると同時にLED2が点灯し、約2秒後に消灯します。
第6図は2個のタイマーを連結し、それぞれの出力を他方のトリガ端子につないだ回路です。一方のタイマー時間が終了すると他方のタイマーがスタートするという動作を繰り返すので、2個のLEDは交互に点滅します。
ボード上の配線図と試作写真を下に掲げます。LM555が2個入ったLM556を用いました。