ブレッドボードラジオ学研電子ブロック

学研電子ブロック〜ブロッキング発振回路

 学研電子ブロックを使って、ブロックキング発振回路の実験をしました。回路集にはブロッキング発振回路の応用例がたくさん出ています。ざっと眺めてみたところ、回路のパターンは3種類あるようです。基本的な動作原理はどれも同じなんだと思いますが、まずこれら3つの基本回路を試してみました。いずれも、機械ブザーのような「ブー」という音を出す回路です。

回路集No.23「電子ブザー」

 最初のパターンはNo.23「電子ブザー」に代表されるものです。以降、この回路を便宜的に「タイプA」とよぶことにします。下に回路図とブロックの配置図を示します。青いブロックはEX-150の部品、黄色いブロックは光実験60の部品です。

 図1

 発振周波数は、デジタルテスタでの測定では510Hzでした。でもこの種の発振回路は波形が複雑なのであまり正確ではないかもしれません。テスタを直接あてると音が変わるので、100pFのコンデンサを介して測定しました。音量はかなり大きいです。イヤホンでずっと聞いていると耳が痛くなります。

 R1またはC1を変えると発振周波数が変わります。何通りか試してみましたので結果を下の表に示します。R1が大きいほど、またC1が小さいほど周波数は高くなります。R1とC1がなくても発振します。この場合は「ピー」という甲高い音になります。出力電圧と消費電流はデジタルテスタの測定値です。周波数と同じくあまりあてになりませんが、大小の比較の目安としてみてください。出力電圧が高くなっているところはトランスの二次巻線とイヤホンが共振しているのでしょうか。

R1(Ω)C1(μF)周波数(Hz)出力電圧(V)消費電流(mA)
4.7k0.015100.580.15
4.7k0.0057000.730.17
10k0.0112704.301.26
10k0.00515103.780.94
なしなし28401.540.22

 上の回路ではイヤホンはトランスの二次側につながっていますが、トランスの一次側、あるいはトランジスタのコレクタ〜エミッタ間につないでもOKです。ただし周波数は少し変わります。音量を下げるにはC2を小さくするかイヤホンと直列に抵抗を入れれば良いのですが、そうするとまた音が変化します。

 下はこの回路にICアンプをつないでスピーカーを鳴らすものです。音が大きいので、ボリュームをかなり絞った状態でちょうどいい感じです。出力周波数は150Hzに下がりました。それと、スイッチを入れると低い音から立ち上がって、2秒くらいかかって一定の音程になります。

 図2a

 図2b

回路集No.26「シグナルインジェクター」

 下記はNo.26「シグナルインジェクター」です。ラジオを修理するときに使う簡単な信号発生器です。説明書ではイヤホンがつながっているところが出力端子になっていて、ここをラジオの各部分に接続して回路の状態を診断します。ブロッキング発振回路の出力はいろいろな周波数の成分が混じっているので、ラジオのどの部分につないでも音が出ます。この回路は上記のものとは形が違うので、「タイプB」と名付けることにします。

 図3

 この回路も十分な音量で「ブー」と鳴ります。上記の回路定数で約850Hzでした。R1, C1を変えて回路の状態を調べた結果を下の表に示します。R1, C1ともに、小さくするほど高い音が出ます。

R1(Ω)C1(μF)周波数(Hz)出力電圧(V)消費電流(mA)
1M0.013000.320.06
1M0.0058500.670.10
560k0.015200.550.12
560k0.00514301.110.17

 タイプAと同じく、イヤホンをトランスの一次側、あるいはトランジスタのコレクタ〜エミッタ間につないでも鳴ります。また、上の回路ではトランスの二次側の一端を電源のマイナスに接続していますが、ここはプラスにつないでも同じです。それから、タイプA, Bともに、トランスの一次二次を逆にしても動作します(出力周波数は変化します)。

 イヤホンの代わりにICアンプをつなぎました。出力周波数は180Hzになりました。この回路はスイッチオンと同時に一定の音程で鳴ります。

 図4a

 図4b

トランスの中間タップを使う回路

 最後は「タイプC」、トランスの中間タップを使用して発振を起こす回路です。下に示した回路は回路集の応用例から部品を減らして簡単にしたものです。タイプA, Bに比べるとやや音が小さいですが、イヤホンで聞くにはちょうどいい音量です。周波数は160Hzでした。

 図5

 この回路でもR1, C1を取り替えて周波数の変化を調べました。全体的に発振周波数が低くなるようです。なお、クリスタルイヤホンの周波数特性の関係か、出力電圧が同じでも周波数によって実際に聞こえる音の大きさはずいぶん変わります。

R1(Ω)C1(μF)周波数(Hz)出力電圧(V)消費電流(mA)
1M0.011600.230.06
1M0.0052900.400.07
560k0.012900.610.12
560k0.0055100.660.13

 スピーカー式の回路に合わせるため、トランスの二次側の一端をアースしてありますが、イヤホンで聞くときは浮いたままでも差し支えありません。また、トランスの一次側の両端に0.05μFのコンデンサをつなぐと出力電圧が3倍くらいに大きくなります。回路集ではそうなっているものが多いです。

 ICアンプをつないでスピーカーを鳴らす回路を下に掲げます。出力周波数は150Hzです。

 図6a

 図6b

 今回の一連の実験を通じて、部品ブロックの接触不良でうまく動作しないことがたびたびありました。回路に流れる電流が少ないせいなのでしょうが、ちょっとイライラします。