ブロッキング発振回路を使ったACブリッジと「電子びっくり箱」の実験をしました。
イヤホンから聞こえる音の大小によって抵抗値を測定する回路です。ブロッキング発振回路で交流電圧を発生させ、これをブリッジ回路の電源にします。下の回路図で、R2とR4が基準となる抵抗、R3が測定しようとする抵抗です。この回路では R2 x R4 = R3 x VR という関係になったときバランスが取れ、イヤホンの両端の電圧がゼロになります。つまりイヤホンからの発振音が消えるわけです。R2〜R4が表示通りの抵抗値なら、VRが約2.2kΩのときバランス状態になります。
実験してみると、ボリュームを左から4分の1くらい回したところで音が消えました。だいたい合っていますね。ただ、電源を入れるとスピーカーからも音が出てしまうので、イヤホンの音の確認がしづらいです。発振出力が電源を通してICアンプの回路に回り込んでいるのだと思います。回路集でもそのことにふれており、スピーカーからも音が出る場合は、「なるべく本体から離れてイヤホンの音に集中してください」と書いてありました。でもそれだけでは不十分で、スピーカーの音穴を手でふさぐようにしないとだめです。
それと、上記の回路定数では音が高すぎる感じです。R1を80kΩ (「40V」と表示してあるブロック) にするか、光実験60に入っている47kΩに変えると聞きやすくなります。
下記は光実験60の50kΩボリュームを使う回路です。R1とR2の定数を変更しました。発振出力が少し弱いのでイヤホンから聞こえる音は小さくなりますが、スピーカーから出る音はそれ以上に小さくなり、ほとんど気になりません。ボリュームのスライダーが中央付近に来たときにバランスが取れて音が消えます。
上記と同じ原理でコンデンサの容量を測定するものです。 C3 x VR = C4 x R2 という関係になったとき回路がバランスしてイヤホンからの音が消えます。回路集では回路図とブロック配置図とで配線が違っていたので、ブロック配置図の方に合わせました。ボリュームを左端から少し回したあたりで音が小さくなるようですが、この回路は上のNo.61以上にスピーカーからの音がうるさくて正確な測定ができません。発振回路にC2というコンデンサが付いていますが、これがないと異常発振します。
今回も50kΩボリュームを使う回路を試してみました。ブリッジを構成するCRの値はボリュームに合わせて変えてあります。この回路は静かなのでイヤホンからの音がよく聞こえます。ボリュームの抵抗値が10kΩくらいのところでバランスが取れます。
ブロッキング発振によってトランスの2次側に高い電圧を発生させるものです。出力端子に指先で触れるとピリピリ、チクチクする感じです。あまり気持ちのいいものじゃありません。本では「電子びっくり箱」というタイトルが付いていますが、他人を驚かす目的では使わないでください。なお、この回路も電源を入れるとスピーカーから「プー」という音が出ます。
回路図に示した各部の電圧・電流は、出力端子が開放状態のときにデジタルテスタで計測したものです。DCVレンジで測定すると出力端子にはマイナスの電圧が出ています。ACVレンジにして出力端子間にあてると21Vでした。これではよくわからないので、出力端子に手持ちのネオン管をつないでみたところ、片側の電極だけが点灯しました。下の写真がそのようすです。このネオン管は別項「ネオン管発振回路」で使用したものです。ネオン管が光るということは、瞬間的には70V以上の電圧が発生していることになります。