ブレッドボードラジオデジタルICの実験

再生検波ラジオに周波数カウンタをつなぐ

 ラジオの受信周波数を周波数カウンタで計測するというと、スーパーヘテロダイン方式のラジオの局部発振周波数を読むのが普通です。しかし、再生検波方式のラジオでも周波数の読み取りができないわけではありません。周波数測定中は一時的に放送が聴取できなくなる欠点はありますが、周波数カウンタの接続自体はスーパーラジオよりもむしろ簡単です。近頃は周波数測定機能を持ったデジタルテスタが安価で販売されているので、手軽に試してみることができます。

第1図

 測定の方法は上の図の通り、ラジオのアンテナ・アース端子に周波数カウンタをつなぐだけです。私は別項「6BH6-6AK6 2球ラジオ」と秋月電子のデジタルテスタ METEX P-16 (2100円) でやってみました。

 再生検波ラジオで再生を強くして発振状態にすると、検波回路が高周波発振器になり、アンテナ端子から電波が出るようになります。これを周波数カウンタで計測しようというわけです。

 普通に放送が聴取できる状態ではまだ発振が起きていないので、周波数カウンタの表示もゼロです。再生バリコンの容量を増やしていくとある時点で検波回路が発振し、周波数カウンタに何かしら数字が出ます。しかしこの時点ではまだ発振が弱いので、表示周波数は受信周波数よりもずっと低く、また安定していません。正しい周波数を表示させるには、再生量をもっと増やして十分に強い発振を起こす必要があります。

 何か放送を受信している状態で上記の操作を行なうと、ラジオのスピーカーから「ピー」というビート音が聞こえてきます。このとき、同調ツマミをほんのわずか動かすとビート音の音程も上下しますので、ゼロビート、すなわちビート音がだんだん低くなって消える位置にダイヤルを合わせれば、周波数カウンタはその放送の周波数を正しく表示します。

 このままでは放送を聞くことができませんから、周波数測定後は再生ツマミを元に戻す必要がありますが、そうするとまた周波数がずれるので、同調ツマミを再び微調整してチューニングを取り直さなければなりません。これら一連の操作がちょっと面倒ですが、周波数のわからない放送局を受信したときなど、この方法で周波数を知ることができます。

 一方、放送を受信していない状態でも、再生発振が起きればその時点での受信周波数を測定することができます。ただし、上に書いたように、周波数カウンタで測定できるほど発振を強くすると周波数がずれますので、測定値は少し誤差が出ます。

 6BH6-6AK6 2球ラジオとデジタルテスタで実験してみたところ、中波帯の下端ではほとんど誤差がありませんでしたが、中ほどの周波数では0.5%くらい、中波帯の上端では1%ほどの誤差が出ました。再生が強く起きる周波数ほど誤差が大きくなるのか、それとも単純に周波数が高くなると誤差が目立つということなのか、今のところはよくわかりません。

 1%の誤差というのは中波ならともかく短波帯では無視できない数字です。しかしながら、自作ラジオなどで大まかな周波数目盛を付ける目的なら十分使えるのではないかと思います。実際の放送あるいは発振器からの信号を受信してゼロビートで測定する際には誤差はありません。

 下の写真は2球ラジオの受信周波数を測定している様子です。テスタのリードをラジオのアンテナ・アース端子にじかに突っ込むという大雑把な方法ですが、ちゃんと周波数を表示できました。受信しているのは1107kHzのMRO北陸放送です。

写真1