ラジオ用周波数カウンタを組立キットで製作しました。中間周波数分を引き算して、受信周波数そのものをずばり表示してくれる便利な周波数カウンタです。スーパー方式のアナログラジオにこれをつなげば受信周波数が直読できます。
製作したのは、奈良県のアイ・ユー・エスというメーカーの「通信機用周波数表示カウンタキット FC-001」です。東芝のTC5070Pという専用ICを用いた6桁LED表示(99.999.9kHz)の周波数カウンタです。入力周波数に中間周波数を加算または減算して表示します。オフセットの値は、手持ちの受信機の中間周波数に合わせて複数本のダイオードを接続することで自由にプリセットできます。
FC-001の価格は7000円、送料は450円です。ただし、このキットは受信機内部に組み込むことを前提にしているので、キットに含まれるのは基板上の部品だけです。私は単体の周波数カウンタとして製作したので、キットのほかにアルミケース、スイッチ、入力ジャックなど、1000円前後の追加部品を別途購入しました。
ケースはタカチのYM130を用いました。寸法は130x90x30mmです。この大きさでちょうどぴったり入ります。電源はDC9〜12Vが必要です。基板上にに5Vの定電圧回路が組んであるので、普通のACアダプタでOKです。消費電流は実測で約80mAでした。基板は本体と表示部の2枚に分かれていて、両者をコネクタでつなぐようになっていましたが、私は自作のL字形金具で2枚の基板を連結し、コネクタを使わずにビニール線で配線しました。また、定電圧ICに小さい放熱板(これも自作)を取り付けました。上の写真ではMHz台の小数点が点いていませんが、「BCLラジオ風」の表示にしたかったのでわざと消しています。それ以外は説明書の通りに製作しました。
内部の写真を下に掲げます。前面パネルにLEDディスプレイと電源スイッチ、後面にRF入力とDC入力のジャックを取り付けました。RF入力端子にはオーディオ用のピンジャックを用いました。
中間周波数のプリセットは、各桁ごとにダイオードを接続することで簡単に設定できます。私は、後から変更できるようにICソケットを取り付けました。基板後方に並んでいるのがダイオード用のソケットです。ダイオードはキットに20本入っていますが、ICソケットは別途購入する必要があります。
中間周波数が455kHzの場合は下図のように9本のダイオードを接続します。「ダイソー100円AMラジオ」のOSCコイルにつないでテストしてみたところ、見事に受信周波数を表示してくれました。周波数カウンタとラジオの間には10pFのコンデンサを入れただけですが、特にラジオの動作がおかしくなるということはありませんでした。
プリセット用のダイオードを全部はずすと、普通の周波数カウンタになります。
1970年代の後半、BCLブームの頃のラジオ雑誌を見ると、こういう機能を持った周波数カウンタキットの広告がときどき出ています。しかし、その後周波数をデジタルで表示するラジオが普及するにつれ、こうしたキットは姿を消してしまいました。現在では、PICやAVRといったマイコンICを用いてラジオの受信周波数を表示するセットの製作記事を見かけることがありますが、初心者が簡単に作れるものではありません。そんなわけで、本器のような周波数カウンタがキットとして今でも販売されているというのは非常にありがたいことです。プログラムを書き込む必要もなく、ディスプレイも昔ながらの7セグメントLEDというのがうれしいですね。
(2010年8月10日 追記)
本キットの取扱説明書のコピーを「各種資料」のページに出しました。
周波数カウンタキットFC-001組立説明書
残念ながら本キットは現在は販売されていませんが。「電子工作展示室」の方円(houen)さんがTC5070Pを用いた周波数カウンタの製作記事を発表されています。ICが手に入る方は製作に挑戦されてみてはいかがでしょうか。
電子工作展示室トップページ
周波数カウンタ