真空管を使った非安定マルチバイブレータの実験をしました。
マルチバイブレータの回路が考案されたのは1919年だそうです。だとすれば最初は当然真空管を使っていたはずです。でもいまどき真空管でマルチバイブレータをやる人なんて誰もいないので、回路図を探すのに苦労しました。海外の電子工作サイトでようやく基本回路だけ見つけることができたので、これを元にいろいろアレンジしてみました。いつも頼りにしているラジオ雑誌やインターネットサイトでの製作例が皆無のため、おっかなびっくりって感じでしたが、なんとかうまくいきました。
第1図は非安定マルチバイブレータによる音出し回路(可聴周波数の発振回路)です。出力をクリスタルイヤホンで聞けるようにしました。出力電圧が大きいので、抵抗とボリュームでかなり絞っています。
真空管は双3極管の6J6を用いました。6J6は両ユニットのカソードが管内で結ばれて、1本の引き出しピンから出ています。電流は平均で数mAなので、6J6に限らず、たいていの真空管が使えると思います。
発振周波数は280Hzになりました。C1やC2、あるいはR1やR4を大きくすると周波数が低くなります。きちんと反比例して変化するかどうかまでは確認していません。
電源は「真空管ラジオ用電源器(その1)」をつなぎました。
第2図は発振音をスピーカーで聞くことができるようにしたものです。出力トランス代わりのヒータートランスをつなぎました。二次側(6.3V)のセンタータップにスピーカーを接続しています。発振周波数は第1図と同じ280Hzです。
この回路のブレッドボード上の配線図と完成写真は下記の通りです。
第3図は2個のLEDを交互に点滅させる回路です。各真空管のプレートに赤色LEDを入れました。C1とC2は1μFにしました。ケミコンでも構わないのかもしれませんが、よくわからないので今回はフィルムコンデンサにしました。耐圧は400Vのものです。1μF・400Vのフィルムコンデンサはかなり大きいです(値段も高い)。
点滅周期は約1.6秒になりました。
第4図は2個のネオン管を交互に点滅させる回路です。これは真空管式のマルチバイブレータじゃないとできません。点滅周期は1.3秒です。直流による点灯なので、ネオン管は片側の電極だけが光ります。
この回路のブレッドボード上の配線図と完成写真を下に示します。
(2005年10月5日)