真空管ラジオ用の定電圧電源器を作りました。出力はB電源が120V,50mA、ヒーター電源が6.3V,1Aで、それぞれ3端子レギュレータICで安定化しています。本来、ラジオごときにこんな大げさな電源は不要ですが、ACラインを伝ってくる他の電気機器のノイズがシャットアウトできないかと思って作ってみました。
完成後さっそくこの電源器を「6BJ6-6AK6 2球ラジオ」につないで、普通の電源器と聞き比べてみました。確かに少し静かになったものの、ACラインから混入するノイズは依然として残っていて、ちょっとがっかりしました。ノイズが出る原因はほかのところにあるのでしょうか。出力電圧はよく安定しています。
回路は上図の通りです。B電源、ヒーター電源とも、LM317Tで安定化しました。ヒーター電源回路は普通の使い方ですが、B電源回路のほうはICの最大定格に注意する必要があります。LM317Tは入力電圧と出力電圧の差が40V以内と規定されています。入出力間電圧差が最大になるのは無負荷のときですので、このときに両者の電圧差が40Vを超えないようにします。一方、定電圧出力を維持するためには入出力間電圧差が最低3V程度必要です。それとリップル電圧が最大2V程度あるので、出力電流が最大のときでも入力電圧が出力電圧より5V以上高くないと正常に動作しません。この2つの条件を考え合わせると、本器の場合、出力電圧は120V前後に設定するのが適当と考えました。また、このICには保護回路が内蔵されていますが、本器のB電源回路のような使い方をした場合、出力端子をショートするとICが壊れると思います。
出力電流と入力電圧・出力電圧の関係を下の表に示します。
B電源 | ヒーター電源 | ||||
出力電流 | 入力電圧 | 出力電圧 | 出力電流 | 入力電圧 | 出力電圧 |
0mA | 150V | 122V | 0A | 12.2V | 6.27V |
10mA | 146V | 122V | 0.2A | 11.1V | 6.27V |
20mA | 143V | 122V | 0.4A | 10.4V | 6.26V |
30mA | 140V | 122V | 0.6A | 9.83V | 6.26V |
40mA | 136V | 122V | 0.8A | 9.34V | 6.26V |
50mA | 132V | 122V | 1.0A | 8.95V | 6.25V |
2個のICには2mm厚のアルミ板で作った放熱板を取り付けました。サイズはB電源用(IC1)が45x30mm、ヒーター電源用(IC2)が65x45mmです。ケースの大きさは幅160mm、高さ70mm、奥行き130mmです。下に実体配線図と内部の写真を掲げます。
本器の製作に使用した部品は下記の通りです。
(2006年11月17日)