5極管でグリッド検波をする場合、プレート負荷抵抗(Rp)とスクリーン抵抗(Rg2)の値を変えると出力電圧がどう変化するか調べてみました。測定回路は下記の通りです。真空管は、いつも使っている6BH6の他、6BJ6、6AU6、6BA6、6BD6を試してみました。
ラジオ雑誌等の製作記事では、B電圧が250Vのときはプレート抵抗が250kΩ、スクリーン抵抗が1MΩになっているのが普通です。また、B電圧が120V程度(トランスレス)のときは、プレート抵抗が100kΩでスクリーン抵抗が330kΩという回路を多く見かけます。
今回の実験は135V前後のB電圧のもとで行ないましたが、出力電圧が最大になるのは、プレート抵抗値のいかんにかかわらず、スクリーン抵抗が1.5MΩもしくは2.2MΩのときでした。スクリーン電圧は、スクリーン抵抗の値によって決まります。プレート抵抗(プレート電圧)の大小はほとんど関係がありません。管種によって最適なスクリーン電圧というものが存在し、これより高くても低くても検波出力は減少します。このスクリーン電圧は、シャープカットオフ管では比較的高く、リモートカットオフ管では低くなりました。
また、今回のようにB電圧が低い場合でも、プレート抵抗を高くしたほうが検波出力が大きくなることもわかりました。管種による違いはそれほど大きくありませんが、シャープカットオフ管よりもリモートカットオフ管の方が若干出力電圧が高くなるようです。
今回実験した5種の真空管の中で検波出力電圧が最も大きかったのは、意外といいますか、巷では「使い道がない」と不人気の6BD6でした。
私は測定器を持っていないので、出力電圧の大小ぐらいしか調べることができません。また測定回路には再生をかけていません(調節がデリケートになるので)。そんなわけで、今回の実験で出力が最大になった抵抗値の組み合わせが検波回路として必ずしもベストとは断言できませんが、それでも、5極管の性質の一端を表わす結果が出ているのではないでしょうか。
先輩方が発表された回路は、感度、選択度、音質、再生のかかり方などを総合的に勘案した結果、上記のような定数にしてあるのだと思います。
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Rp Ω | Rg2 Ω | Ep DCV |
Eg2 DCV | Ip DCmA | Ig2 DCmA |
eout ACV |
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100k | 680k | 64 | 13 | 0.65 | 0.18 | 1.57 |
1M | 81 | 10 | 0.49 | 0.13 | 1.64 | |
1.5M | 98 | 8.5 | 0.34 | 0.08 | 1.76 | |
2.2M | 108 | 7.1 | 0.25 | 0.06 | 1.78 | |
3.3M | 116 | 5.9 | 0.17 | 0.04 | 1.70 | |
220k | 680k | 21 | 12 | 0.50 | 0.18 | 1.97 |
1M | 43 | 9.8 | 0.40 | 0.13 | 2.86 | |
1.5M | 63 | 8.4 | 0.31 | 0.08 | 2.99 | |
2.2M | 81 | 7.1 | 0.23 | 0.06 | 3.11 | |
3.3M | 96 | 5.8 | 0.17 | 0.04 | 2.97 |
(2004年8月11日)