12AT7単球ラジオの項でもちょっと触れましたが、12AT7とピン接続が同じ双3極管を3種類差し替えて聞き比べてをしてみました。
私は測定器を持っていないので、ラジオの聞こえ方については「そこそこ」とか「まずまず」といったあいまいな表現しかできません。そこでもう少し客観的な比較ができないかと思い、発振器から信号を入れて、各部分の出力電圧をテスタで測定してみることにしました。
再生をかけると調節が微妙でベストポイントが探しにくいので、再生回路は外して少し大きめの信号をアンテナに入力しました。それでも測るたびに少しずつ違った数値が出ますが、だいたいの目安にはなりそうです。
前にも書いた通り、12AT7は再生をかければ外部アンテナなしでもなんとか実用になります。12AX7も12AT7とほぼ同じ聞こえ方でした。12AU7は6C4を2本いっしょにしたような真空管ですが、感度も6C4の2球ラジオと同じで、バーアンテナだけでは小さな音しか出ません。
検波管の出力電圧はμの大きさに比例するのではないかと予想したのですが、今回の実験で、そんなに単純ではないことがわかりました。12AT7(μ=60)より12AU7(μ=17)の方が検波出力が大きくなったのは意外でした。出力管のカソード抵抗(1kΩ)をいろいろ変えて比較すれば良かったかもしれません。また、微小信号の増幅に用いられることが多い12AX7でもスピーカーを鳴らすことができたのは新しい発見でした。
下に、実験回路と実験結果を記します。
真空管 | Eb DCV | Ep1 DCV |
Ip1 DCmA | Ep2 DCV | Ek2 DCV |
Ip2 DCmA | eg ACV | ep ACV |
esp ACV | ep⁄eg | esp⁄ep | esp⁄eg |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12AU7 | 133 | 25 | 1.0 | 132 | 4.2 | 4.2 | 0.16 | 0.83 | 0.024 | 5.2 | 0.029 | 0.15 |
12AT7 | 135 | 46 | 0.8 | 134 | 2.0 | 2.0 | 0.12 | 1.21 | 0.036 | 10.1 | 0.030 | 0.30 |
12AX7 | 136 | 74 | 0.6 | 136 | 0.9 | 0.9 | 0.20 | 1.49 | 0.042 | 7.5 | 0.028 | 0.21 |
真空管 | Eb DCV | Ep1 DCV |
Ip1 DCmA | Ep2 DCV | Ek2 DCV |
Ip2 DCmA | eg ACV | ep ACV |
esp ACV | ep⁄eg | esp⁄ep | esp⁄eg |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12AU7 | 133 | 18 | 0.5 | 132 | 4.2 | 4.2 | 0.20 | 1.06 | 0.031 | 5.3 | 0.029 | 0.16 |
12AT7 | 136 | 37 | 0.4 | 135 | 2.0 | 2.0 | 0.19 | 1.84 | 0.054 | 9.7 | 0.029 | 0.28 |
12AX7 | 137 | 60 | 0.3 | 137 | 0.9 | 0.9 | 0.27 | 2.03 | 0.058 | 7.4 | 0.029 | 0.22 |
真空管 | Ep V | Eg V |
Ip mA | Rp kΩ | Gm μmho |
μ |
---|---|---|---|---|---|---|
12AU7 | 250 | –8.5 | 11 | 7.7 | 2200 | 17 |
12AT7 | 250 | –2.0 | 10 | 11 | 5500 | 60 |
12AX7 | 250 | –2.0 | 1.2 | 63 | 1600 | 100 |
(2004年7月18日)