メタル管とG管を用いた4球高一ラジオを作りました。高周波増幅と検波はリモートカットオフ5極管の6K7メタル、出力管は6G6-G、整流管は6ZY5-Gです。本当は6K7もG管にして「オールG管4球ラジオ」にしたかったんですが、G管用のシールドケースが手に入らないのであきらめました。高周波増幅が付くと3ペンに比べて感度がぐんとアップします。アンテナコイルはアルミ板に囲まれた状態ですが、それでもローカル局は外部アンテナなしで実用的な音量で受信できました。サイズは幅200mm、高さ170mm、奥行き150mmです。
本器の回路図を上に示します。複同調で再生検波式の高一ラジオです。6G6-Gは最大定格が小さいのでB電圧を低目にしました。高周波増幅回路に付いているボリュームは感度調節用です。これで音量調節もできます。このボリュームはC型を使うのが一般的ですが、本器では20kΩB型のボリュームと22kΩの固定抵抗を並列にしています。これで10kΩC型のボリュームに近いカーブになります。C型のボリュームは値段が高いのと、ボリュームになるべく直流を流したくなかったのでこのようにしました。
アンテナコイルと検波コイルにはトリオの2本組高一コイルを用いました。バリコンは「NITTO」という刻印のある430pF2連バリコンです。このバリコンはジャンク品なので高一用かどうかはっきりしませんが、後期のスーパー用と比べると大型で、両ユニット間の仕切り板も大きいのでこれにしました。結果的に発振等のトラブルはありませんでした。
出力トランスに用いたPM-20というトランスは、一次側が200V、二次側が6V-0-6Vのヒータートランスです。川崎市の「サトー電気」で5個1050円と安かったので使ってみました。普通のラジオ用出力トランスと聞き比べてもそれほど音は悪くないように思います。もっとも、スピーカーがむき出しの状態なので差が出ないだけかもしれません。電源トランスは西崎電機の特注品です。
感度最大のとき(VRのスライダーがアース側)、および感度最小のとき(VRのスライダーがB+側)の各部の電圧・電流は下記の通りです。なお、電流値は電圧の測定値を基に計算で求めたものです。
[ 訂正 2006年12月18日 ]
回路図中、「Ib1」と「Ib2」の表示が抜けていたので書き加えました。
Eb1 | Eb2 | Eb3 | Ep3 | Eg3 | Ek3 | Ep2 | Eg2 | Ep1 | Eg1 | Ek1 | |
感度最大 | 197V | 185V | 174V | 175V | 174V | 8.1V | 24V | 16V | 174V | 65V | 1.7V |
感度最小 | 201V | 190V | 183V | 183V | 183V | 8.6V | 25V | 16V | 183V | 89V | 28V |
Ib1 | Ib2 | Ip3 | Ig3 | Ip2 | Ig2 | Ip1 | Ig1 | |
感度最大 | 26mA | 11mA | 15mA | 2.6mA | 0.65mA | 0.16mA | 4.1mA | 1.3mA |
感度最小 | 23mA | 7.0mA | 16mA | 2.0mA | 0.68mA | 0.17mA | 0.90mA | 0.85mA |
シャーシ内部およびシャーシ上面の実体配線図を下に掲げます。CR類は平ラグ板にまとめました。検波管のグリッドにつながるC3とR5はうまい固定方法が思いつかなかったので、空中配線でごまかしてあります。写真では真空管ソケットの止めネジのアースラグが見えませんが、これはソケットの金具自体にアースラグが付いたものを使用したためです。
本器に使用した部品は下記の通りです。