ブレッドボードラジオLMF501T

ブレッドボードで丸七100円ラジオ

 「丸七100円AMラジオ」をブレッドボード上で再現してみました。IC・TA7642とトランジスタS9014はラジオから取りはずしたものをそのまま用いました。それ以外の部品は手持ちのものを使いました。コイルはPA-63R、バリコンは270pFの単バリコンです。

元の回路の再現

 図1

 上に回路図を示します。最初、オリジナルと同じようにICの入力端子をコイルのB端子 (黒) につないだのですが、ICが発振してNGでした。バンドの下の方で「ザー」というノイズが出て、放送を受信するとビートが出ます。そのためW端子 (白) に接続しました。これでも元のラジオと同じくらいの音量で鳴り、しかもローカル局どうしの混信はありません。バーアンテナのクオリティの差ですね。C1の右側はプラスにつないでもマイナスにつないでも聞こえ方は同じでした。R2が2.7kΩでは大きいように思ったのですが、これを1.5kΩ以下にするとやはり発振します。ICの入力をコイルのBにつないだときと同じ発振です。R2が2.2kΩ以上なら大丈夫です。

 2個のトランジスタのhFEは、TR1が250、TR2が230くらいでした。TR2に流れる電流が元の回路より増えていますが、これは測るたびに少しずつ違った値が出ます。温度の影響を受けるのでしょうか。C6はあってもなくても同じでした。また、低周波回路は部品やジャンパー線の接触が悪いと発振することがあります。こちらは音量ボリュームを下げたときに「ピー」と鳴ります。イヤホンは32Ωのものならうるさいくらいに鳴ります。8Ωでも十分実用になりました。ブレッドボード上の配線図と試作写真を下に示します。

実体図1 写真1

消費電流を減らす

 図2

 第1図の回路で音量は十分すぎるくらいありますので、消費電流を減らす工夫をしてみました。第2図1番はR4を2.2kΩにしたものです。消費電流は4分の1くらいになります。これでも32Ωイヤホンなら音量に不足は感じません。

 2番はクリスタルイヤホンを使う回路です。トランジスタは2個も必要ないので、TR2を取ってTR1のコレクタにイヤホンをつなぎました。消費電流は1mA以下です。1番より少し音が小さいですが、ローカル局の聴取には問題ありません。マグネチックイヤホンとクリスタルイヤホンの音質の違いがよくわかります。

スピーカーを鳴らす

 イヤホンではかなり大きな音が出るので、スピーカーを鳴らせないか試してみました。第1図の回路でイヤホンのところに「32Ωスピーカー」をつないで、インピーダンスを変えて聞こえ方の違いを調べました。

 結果、イヤホンと同じ32Ωのスピーカーなら結構な音量で鳴ってくれました。ガンガンとはいきませんが、室内で聞くには十分な音量です。ただ、ボリュームをある程度より上げても音は大きくならず、かえって歪が目立ってきます。24Ωや16Ωでもほぼ同じ聞こえ方でした。8Ωまで下げるとシャリシャリした汚い音になり、音量も少し落ちます。C5 (0.01μF) を0.047μFにするとシャリシャリ感は軽減されますが、今度は高音が出なくなりました。

 下の写真はスピーカーを鳴らす実験の様子です。

 写真2

LMF501Tと2SC1815でやってみた

 図3

 ICをLMF501Tに、トランジスタを2SC1815に換えて同じ回路を試してみました。CR定数は同じにしたので聞こえ方もだいたい同じです。オリジナルのトランジスタに合わせて、2SC1815はGRランクのもの (hFE=230) を用いました。第1図のラジオと同じく、イヤホンの他32Ωのスピーカーでも良い音で聞くことができます。トランジスタをYランク (hFE=140) にすると音量が低下し、音質も悪くなりました。また、この回路ではR2を1kΩに下げてもICは発振しませんでした。この抵抗が小さいほど感度が上がりますが、選択度が悪いので感度ばかり良くても聞こえる局数はあまり増えません。

 図4

 第4図は8Ωのスピーカーを鳴らすために出力トランスをつないだ回路です。トランスは500Ω:8ΩのST-82を使い、一次側のセンタータップをTR2のコレクタにつなぎました。一次コイル全体をコレクタの負荷にすると音が歪みます。またC5が0.01μFでも高音が不足するようなので、0.0047μFに換えました。8Ωスピーカーを直接つないだときよりはだいぶましな音で鳴りますが、この程度の聞こえ方なら、別項「LMF501T+2石アンプ」の回路のほうが簡単でいいと思います。

 第4図の回路のボード上の配線図と試作写真を下に掲げます。

実体図4 写真4