パソコンのUSBポートに接続してAVRマイコンICへのプログラム書き込みができるライターを製作しました。少しお金がかかりますが、部品点数はわずかなので組み立てはそれほど難しくありません。
今回製作したライターは上の写真のようなものです。55x40x22mmの大きさのプラスチックケースから、パソコンにつなぐUSBコネクタと、AVRマイコンICにつなぐDINプラグコードが出ています。このAVRライターの核になるのはオプティマイズという会社で出している「MINI EZ-USB」というキットです。USB接続の機器に広く利用できる基板キットです。これに抵抗3本とコネクタをつないでAVRライターとして使えるようにしました。なお、オプティマイズではAVRライター用の追加部品と専用基板のキットも販売しています。
本器の製作に必要な部品は下記の通りです。
まずMINI EZ-USBを作ります。キットには説明書が付いていないので、オプティマイズのウェブサイトの「MINI EZ-USB」のページを見て作ります。AN2131SCという小さなICがあらかじめ取り付けられているプリント基板の裏表に15個程度の部品をハンダ付けすれば出来上がります。EZ-USBをAVRライター専用にする場合は全部の部品を取り付ける必要はなさそうですが、将来この基板を別の用途に使うことがあるかもしれないので、ここは説明記事の通りに作りました。
ハンダ付けする部品は以下の通りです。これらはすべてキットに入っています。チップ部品のハンダ付けは慣れないとちょっと手間取るかもしれません。どうしても無理なときは普通の大きさの部品をハンダ付けしても同じように動作します。2種類のチップコンデンサは見た目が同じなので、混ぜてしまうと区別がつかなくなりますのでご注意を。
最初に基板の裏側(ICの付いていない方)から始めたほうが作業がしやすいと思います。上の図のように11個の部品をハンダ付けします。
続いて、基板の表側にチップ部品4個、水晶、およびジャンパー線をハンダ付けします。ジャンパー線は、キットでは抜き差しできるコネクターを付けるようになっていますが、私はスズメッキ線をハンダ付けしました。「VBUS」という表示のある2つの穴をつなぎます。ここをジャンパーすることによって、パソコンからAVRライターに、さらにAVRマイコンICにもDC5Vを供給できますので、実験のとき便利です。
次はUSBコネクタの取り付けです。キットでは基板上にUSB-B型のジャックをハンダ付けすることになっていますが、私はケーブル付きUSB-Aプラグのリード線を直接ハンダ付けしました。芯線が4本とシールド外被の計5本の線が付きます。リード線の色分けは私が購入したものの場合を示しています。すべてのUSBケーブルがこれと同じになっているかどうかはわかりません。
ここまででMINI EZ-USBが完成したので、動作チェックをしてみます。オプティマイズ「MINI EZ-USB」のページにある「EZ-USBデバイスドライバー」をダウンロードして解凍します。下記にリンクを張っておきます。
解凍すると「ezusb_drv」というフォルダが現れます。この中には「ezusb.sys」と「ezusb2k.inf」の2つのファイルが入っています。OSがWindowsXPの場合は、「ezusb.sys」を「C:\WINDOWS\system32\drivers」に入れます(「\」はフォルダの階層の区切りの記号)。「ezusb2k.inf」は「C:\WINDOWS\inf」に入れます。EZ-USBのUSBコネクタをパソコンのUSBポートに差し込むと、「新しいハードウェアの検索ウイザード」というウインドウが出ますので、「ソフトウェアを自動的にインストールする」を選択して次に進みます。「ロゴテストに合格していません」というメッセージが表示されたら「続行」をクリックすればインストールが完了するはずです。2回目からはUSBコネクタを差し込めばすぐに認識されます。
最後に、AVRマイコンにつなぐコネクタを取り付けます。上にも書いたように、この部分もオプティマイズでキットになっていますが、抵抗3本とコネクタだけでできそうだったので、私は自分で用意した部品で作りました。回路図と作り方の説明はオプティマイズのサイトの「AVRワールド」のページに出ています。私が作ったものは、キットの回路を少し簡略化したものです。実体配線図を下に掲げます。
まず基板表側の出力端子A2とA6、およびA3とA5をジャンパー線でつなぎます。次に、図に示した端子から6本のリード線を出します。AVRマイコン側のコネクタは何でもいいのですが、私はオーディオ用の5P DINプラグにしました。5PのDINプラグは外周のシールド用スリーブにも結線できるので、6Pのコネクタとして使えます。6本の線のうち「RST」「SCK」「MOSI」の3本は途中に100Ωの抵抗を入れる必要があります。これらの抵抗はDINプラグ内部に収納しました。プラグのピンの順番は、AVRマイコンICをブレッドボードにセットしたとき配線しやすいように並べました。
完成したAVRライター基板の表と裏、およびDINコネクタ内部の写真を下に示します。ピンボケですみません。
出来上がったAVRライターがちゃんと動作するかどうかは、実際にAVRマイコンICをつないでみないとわかりません。これについては別項「AVRマイコン回路の製作」のページを見てください。